頭痛は女性に多い病気です。悩まれている方は多いのではないでしょうか?あまり薬を飲みたくない、という方もいらっしゃるでしょう。生活習慣を少し変えることで、頭痛が起こりにくくなるかもしれません。今日から始めることができる頭痛のセルフケアについてまとめました。
頭痛は30〜40代の女性に多い症状です

15歳以上を対象とした日本全国調査では片頭痛の年間有病率は8.4%と報告されています。その中で、最も有病率が高いのが30-40代の女性であり、その有病率は18−20%と約5人に1人が頭痛で悩んでいることになります。
また女性の片頭痛患者の約半数は、頭痛発作が月経周期に関連して起こっており、月経数日前から月経中に起こることが多いとされています。
ただ日本の片頭痛で悩む方たちは頭痛で日常生活に支障があるにもかかわらず、医療機関を受診する方が少ないことが示されています。
片頭痛が起こるor悪くなる原因は生活習慣に多数存在していることを知っていますか?

多くの片頭痛患者の方は発作を誘発する因子を持っていることが知られており、患者ごとに原因が違うため、自分の頭痛の原因になりやすい因子を正しく知ることで予防することができます。
以下に示すものが、比較的頻度の多い原因です。
・精神的因子:ストレス、ストレスからの解放、疲れ、睡眠の過不足
・内因性:月経周期
・環境因子:天候の変化、温度差、におい、音、光
・ライフスタイル因子:運動、欠食、性的活動、旅行
・食事性因子:空腹、脱水、アルコール、カフェイン、特定の食品
ご自身の生活に当てはまる因子はありますでしょうか?自分の頭痛発作の頻度、起きた時の原因などをカレンダーに記録することで、自分の発作が起こるタイミングを知ることができます。
困った時は専門家へ相談しましょう

頭痛外来はあまり聞き慣れないかもしれません。日本は他国に比べ頭痛診療の普及が遅れています。ですが、片頭痛を含め様々な種類の頭痛には有効な治療方法がたくさんあります。セルフケアを行っても日常生活に支障をきたす場合には、我慢をせずに受診を検討してください。
「最近、頭痛の頻度が増加した」「鎮痛薬が効かない」「発熱・意識障害・四肢麻痺や複視などの神経症状がある」という場合に大きな病気が隠れている可能性がありますので、早めに受診してください。
今回は、多くの方が悩まされている「頭痛」を予防するための、生活習慣改善のポイントについて説明しました。
<参考文献>
・一般社団法人 日本頭痛学会.頭痛の診療ガイドライン2021.
・下村登規夫. ペインクリニシャンのための頭痛診療.その他の関連事項 頭痛の誘引(解説).ペインクリニック.2015, vol.36, p.333-338.
・牧田和也.「痛み」に強くなる-産婦人科医として知っておきたい最新知識-.女性の片頭痛
・筋緊張型頭痛への対応(解説).産科と婦人科.2023,vol.90,no.6,p.621-625.
・稲垣美恵子. 女性に多い頭痛 片頭痛を中心に(解説).日本女性医学学会雑誌.vol.31,no.3,p.467-472.
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(産婦人科医 藤嶋 明子)