生理が長い、出血量が多い、受診の目安は?

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

皆さんはどこまでが正常な月経期間・月経量かご存じでしょうか?個人差はありますが、正常な月経期間・月経量の範囲は決まっていて、それを越えてしまうと過長月経・過多月経といった「月経異常」となります。月経異常にはこわい病気が隠れている場合もあるのです。

過長月経・過多月経を判断する目安は?

まず、正常月経とは、月経期間が3〜7日、月経量が100-150g程度のものを言います。月経が8日以上続くものを過長月経、月経量が150g以上のものを過多月経と言います。

実際に月経量を測るのは難しいので、
・ナプキンが1時間もたない
・昼に夜用ナプキンが必要
・レバー様の血の塊が沢山出る
などを参考にします。
過長月経も過多月経も、気づかないうちに貧血が進んでしまうだけでなく、後述するような病気が隠れていることもありますので早めの検査が大切です。

過長月経・過多月経には病気が隠れていることも

過長月経・過多月経の原因は大きく分けて以下の3つがあります。
(1) 婦人科の器質性疾患
(2) 婦人科の機能性疾患
(3) 内科的疾患

まずは、(1)の「婦人科の器質性疾患」。
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜・頸管ポリープなど、子宮が腫れたり、できものが発生することで子宮内膜の面積が大きくなることで月経量が多くなります。良性の病気であることがほとんどですが、中には子宮頸癌・体癌など悪性の病気が潜んでいることもあります。

次に(2)の「婦人科の機能性疾患」。
黄体機能不全や閉経移行期などで女性ホルモンのバランスが崩れることで、通常の月経と違う仕組みで子宮内膜が剥がれ落ちる「破綻出血」を起こしてしまいます。「破綻出血」によってトータルの出血量が多くなることがあり、過長月経や過多月経となります。

最後に、稀ではありますが、血が止まりにくくなる血液疾患のような(3)「内科的疾患」が原因となることもあります。

自分は過長月経・過多月経に当てはまるかも?と思ったら早めの受診を

過長月経・過多月経を疑ったら、まずは産婦人科を受診して検査を行います。
検査方法は、内診、エコー検査、子宮鏡、採血検査、子宮頸管・内膜細胞診、基礎体温測定、MRIなどがあります。複数の検査によって原因を探り、原因がわかれば、病気の治療や貧血の治療が必要となることがあります。

産婦人科医は、まず子宮頸管・内膜細胞診(癌検診)の結果を気にかけます。ほとんどの場合は良性の病気ですが、治療が必要な状態なのかを判断しています。

正常な月経期間・月経量は子宮・卵巣などの異常だけでなく、身体全体の健康のバロメーターになります。もし気になる症状があれば、ぜひ産婦人科を受診してくださいね。

*参考文献
ACOG FAQ. Heavy Menstrual Bleeding.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 尾市 有里

SNSでシェア