公開日: 2026年8月21日
お子さんが「イヤ!」と泣き叫んだり、指示を聞いてくれなかったりするとき、つい「どうやってやめさせようか」と真正面からぶつかってしまいがちです。
そんなとき、応用行動分析学(ABA)を用いたペアレントトレーニング(ペアトレ)の視点をもつと、解決の糸口が見えてきます。お子さんの行動そのものだけでなく、行動の「前後」にも注目して、対策を考えていきましょう。
ABC分析についてはこちらの記事も参考になさってくださいね。
・「ABC分析」でお子さんの行動を理解しよう!ペアトレの基本戦略その1
A:行動の「きっかけ」へのアプローチ

まずはABC分析の「A」から考えてみましょう。行動が起きる前の「環境」を整えて、困った行動が「起こらなくなる工夫」をします。
・気になるもの・苦手なものを取り除いておく
テレビやおもちゃに夢中なら、気になるものがない場所に誘導したり、それが見えないように環境を調整しましょう。
・見通しを伝える
「あと5分でおしまいだよ」「着替えたらトイレだよ」など事前に予告をします。集中している子どもにはうまく伝わらないことも多いので、子どもの近くで、視線を合わせて、おだやかに伝えることがポイントです。
・視覚化する
タイマーやイラストを使って、残り時間や「次は何をするか」を視覚的に伝えます。
タイマーでは、色のついた部分がだんだん減っていくことで残り時間が少なくなることを知らせてくれるようなものもありますよ。他に、例えば朝の準備の順番を絵で描いて壁に貼っておいたり、朝の準備物品を一か所にまとめて自然と手に取れるようにするのもいいですね。
さらに、実はAの前に「行動の発生率に影響するもの」があるといわれています。それが、子どもの心身の調子です。例えば、お子さんが空腹や眠気、疲労などで自分をコントロールするのが難しくなっていると、行動に影響しますよね。
Aのきっかけに加えて、「お子さんの調子」も確認してみましょう。例えば食事の前には空腹にした方が食べる可能性は高まりますし、静かにしておいてほしいときには満腹の方が良さそうですね。
B:「行動」自体へのアプローチ

・適切な行動を教える
子どもは意外と「いま何をすべきか」が分かっていないことがあります。
「やめなさい」と言う代わりに、どうすればいいか「代わりの行動」を具体的に伝えてみましょう。「手はお膝だよ」「小さい声でお話ししようね」「歩こうね」など具体的な行動を子どもに分かる言葉で、目を見ておだやかに伝えるのがポイントです。
・選択肢を示す
「早く着替えなさい」の代わりに、「ズボンはどれにする?」「右足から履く?左足から履く?」と選択肢を与えることで、主体的に取り組んでくれることがあります。ポイントは、親からみてどれを選んでもOKな選択肢を提示することです。
(「そんなの時間がないと難しい!」という保護者の皆さまの声が聞こえてくるような気がします。そうです、時間に余裕がないと難しいんですよね。時間や親の心に余裕がない時には、代わりに親が着替えさせてもいいと思いますよ。)
・行動をスモールステップに分ける
「早く着替えなさい」の代わりに、まずは「服を選ぶ」「服に近づく」「服を手に取る」「袖に手を通す」など行動を細かく分け、一つできたらすかさず声をかけていきます(「ズボンを選べたね!」「お着替えに近づけたね!」など)。
・別の方法で気持ちを満たす
もしじっと静かにしているのがつらいタイプのお子さんなら、マッサージや指相撲をする、フィジェットグッズ(手遊びおもちゃ)を使う、キラキラ光るおもちゃなど見て楽しめるものに興味を向けるなど、動きたい気持ちを別の形で満たす方法があります。
C:行動の後の「結果」へのアプローチ

・適切な行動ができたら、すぐほめる
行動の後で「ほめられた」「ごほうびをもらえた」など嬉しい結果が起きると、その行動を繰り返しやすくなります。ごほうびは、言葉でほめる、ハイタッチ、抱きしめる、食べ物、シール、スタンプ、子どもが好きなことなど、言葉でもスキンシップでも物でもOK 。どの行動が適切だったか伝わりやすいよう、行動の直後にごほうびを与えるのがポイントです。
例えば、「お話を聞いてくれてありがとう!」「すぐに来てくれたね!」など、具体的にその場ですぐに伝えてみましょう。
ごほうびについては、こちらの記事にまとめていますのでぜひ読んでみてくださいね。
・ごほうびの種類や、効果的な渡し方を考えよう!ペアトレの基本戦略その3
・25%ルールでほめる
100%できていなくても、25%くらいできた時点でほめましょう。途中でほめることで、最後までできる可能性を高めます。
・困った行動には必要以上に反応せず、適切な行動を示す
大人が反応することで、かえって増えてしまう行動もあります。安全を確保したうえで、必要以上に反応せず落ち着いて対応し、代わりにどうしてほしいかを伝えましょう。
行動の後で思ったような結果が得られない(例:騒いだ結果お菓子が買ってもらえない、親が見てくれない)場合は、一時的に困った行動が増えることがありますが、その対応を続けることで、だんだんとその行動をとる可能性が下がります。
子どもにとっては「親から怒られること」も注目を得られたと感じ、ごほうびになってしまうことがあります。怒らずおだやかに、どうしてほしいかを具体的に伝えましょう 。そして、望ましい行動ができたら、なるべくすぐにたっぷりとほめましょう。
いかがでしたか?
お子さんの行動を分析したら、ABCそれぞれ取り組めそうな部分からアプローチしてみてくださいね。
<参考文献>
・厚生労働省. ペアレント・トレーニング実践ガイドブック
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインでご相談ください。




