双子を妊娠したらどうなるの?(2)〜母体に対する妊娠後期の影響

双子の妊娠は単純に赤ちゃんがおなかの中に二人いるだけではありません。実は、母体に対しても影響があり、様々な合併症が起こりやすくなるのです。妊娠初期には単胎妊娠に比べて、つわりが重くなる傾向があります。ここでは、妊娠後期に起こりえる、医学的にも重要な合併症について述べたいと思います。

高血圧に要注意

皆さんは妊娠中毒症という言葉を聞いたことがあるでしょうか? かつては医学用語として使用されていましたが、現在は妊娠高血圧症候群という用語に変更されました。これは妊娠が原因で高血圧・蛋白尿・むくみなどの症状があらわれる症候群で、主に妊娠の後期(妊娠28週以降が目安)に起こります。妊婦健診のたびに血圧を測ったり、尿検査をする目的は、高血圧や蛋白尿などの症状を見逃さないためなのです。日本では、(特に妊娠後期は)頻繁に妊婦健診がありますので、多くは早めに発見することが可能ですが、急激に発症・悪化する場合もあります。

双子の妊娠の場合には、この妊娠高血圧にかかりやすくなります。ほかにも症状として、頭痛や目のチカチカする感じ、胃の辺りの痛みなどが発症初期に出現することもあります。重症化した場合には“分娩”が最終的な治療法になりますので、血圧の上昇が原因で早産とせざるを得ない場合もあります。
妊娠高血圧症候群については、別の記事に詳しく書かれていますので、こちらも参照していただければと思います(「妊娠中期〜後期の怖い合併症:妊娠高血圧症候群」)

分娩方法は帝王切開が多い

双子の分娩方法に関しては、医療機関によってその方針に違いがあります。双子は必ず、帝王切開としている施設もありますし、二人とも頭位(頭が下の体勢)の場合にはまず経腟分娩をトライする施設もあります。

双子の妊娠で帝王切開が増える理由にはいろいろあります。一つは、上記の妊娠高血圧症候群の発症や、二人の成長に差が出てきて具合が悪くなった場合など、分娩以外の治療法がない場合です。陣痛が起こる前に、合併症によって分娩を急がなければならないとき、双子の場合には分娩誘発よりも帝王切開を選択する可能性が高くなります。

また、満期(妊娠37週以降)の分娩で、かつ両方の児が頭位であっても、一人目がうまれたあとに二人目の体勢が突然変わる場合があります。二人目が頭位のままでも、陣痛が弱くなってしまったり、赤ちゃんの元気がなくなってきて、急遽、帝王切開が必要になる場合もあります。
このような緊急帝王切開を避けるために、最初から帝王切開を予定する方が安全という考えのもと、双子は全例帝王切開の方が安全だという考え方もあるということです。

分娩時の出血が多くなりやすい

単胎の妊娠に比べ、子宮はより一層大きくなっています。その分、産後の子宮の収縮が悪くなったり、収縮するまでに時間がかかることがあり、産後の出血が非常に多くなる場合があります。我々産婦人科医は、すべての分娩に対して大出血をきたす可能性に備え、常に心の準備をしていますが、双子の出産の場合には(経腟分娩でも帝王切開でも)より一層慎重な心構えで分娩に取り組んでいます。

今回は、少し怖い話を書いてしまいました。
双子の妊娠は期待と不安が入り混じった気持ちでの妊娠生活になると思います。どういうことに注意をするべきなのか、どのようなことが起こる可能性があるのかを知っておくのと知らないのとでは違いがあると思います。


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(産婦人科医 竹中裕