帝王切開瘢痕症候群とは? ~隠れた二人目不妊の原因~

帝王切開後に二人目の不妊治療で苦慮されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、帝王切開をされた方に起こりうる、帝王切開瘢痕(はんこん)症候群についてご説明します。場合によっては手術が必要となります。

二人目不妊の原因が帝王切開!?

一人目の子が順調に出産できたのに、二人目の妊娠が難しくなることがあります。
この状態を二人目不妊と呼ぶことがあり、原因のひとつに帝王切開瘢痕症候群があります。

帝王切開は子宮の筋肉の一部を切って、赤ちゃんを取り出してから子宮の壁を糸でつなぎ合わせる手術ですが、稀につなぎ目のところが凹んでその部分に血液が貯留することがあります。溜まった血液が子宮の奥に垂れ込んでしまうと、子宮に卵が着床することを阻害する可能性があるとされています。

体外受精を行っている方で、良い受精卵を獲得できているのに何度も移植で着床しない場合には、帝王切開瘢痕症候群の治療を考慮すべきです。
近年は凹んだところから出血しているのではないかと推察されており、妊娠を望まれている場合にはその凹んだ部分を切除してつなぎ直すか焼却する手術を検討します。

見逃されやすい!どうやって見つけるの?

一回目の出産で帝王切開を受けた方が対象で、症状としては生理と別の日に出血があることや、だらだらと茶色い出血が続く場合に帝王切開瘢痕症候群を疑います。

排卵日前後に来院いただき、エコーで注意深く診察することで、帝王切開で子宮を切開した部分が凹んでいるかどうか、血液が貯留しているかどうかを確認します。診断にはストローのようなものを使って血液の貯留を確認することもあります。

子宮の切開した部分が凹んでいるだけであれば、帝王切開した方の約半数以上の割合で認められるため、実際にその部分に血液が貯留しているかどうかが診断の鍵となります。子宮鏡という3mmほどのカメラで子宮の中を観察する手法を用いる場合もあります。

治療には手術が必要ですが対応できる施設は少ない

帝王切開瘢痕症候群の治療について説明します。

帝王切開では、子宮の筋肉を糸で結んだ部分が薄くなることがあります。この場合、二人目を妊娠した際に子宮破裂のリスクとなります。これを考慮し、残った子宮の壁の厚さが薄い場合には、妊娠しても破裂しないように、腹腔鏡を使って薄くなった部分を切り取ってから再縫合し分厚くします。壁の厚さが残っている場合には子宮鏡手術を選択します。

腹腔鏡手術の場合は難易度が高くなり、治療できる病院は限られていますので、お困りでしたらまずは近くの産婦人科を受診し相談をお勧めします。

参考文献
・Satoshi Tanimura,et al. J Obstet Gynaecol. 2015;41(9):1363-9. 
・Shunichiro Tsuji,et al. PLos One 2020;3:15(12)
・LF van der Voet ,et al. BJOG 2014 ;121(2):236-44.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。

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(産婦人科医 佐古 悠輔