子どもが自分の性器を触っているけれど、これはマスターベーションなの?〜乳幼児期の自慰行為について〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

子どもが自分のおまたやおちんちんを触っているけれど、これはマスターベーションなの?こんなに小さな子供でも自慰行為をするの?どう接したらいいのかわからない…というお悩みを伺うことがあります。初めてご覧になった時には、どう対応したらいいか戸惑う方も多いはずです。今回は、これがどのような現象なのか、どのように対処したらいいのかについて紹介します。

乳幼児期のマスターベーションは性欲によるものではないようです

乳幼児期(主に就学前まで)のお子さんのマスターベーションについてはまだよくわかっていないことも多いです。しかし、実際におまたやおちんちんを触ったり、床やぬいぐるみ等にこすりつけるなどの自慰行為のような行動をする子どもは少なくありません。このような行動は、一般的には性欲からくるものではなく、癖や感覚遊びであったり、親の反応を楽しんで繰り返している場合がほとんどで、自然におさまると言われています。

厳しく注意すると、よくない影響が出ることも
性教育を始めるいい機会だと捉えてみましょう

もし乳幼児期のお子さんがマスターベーションをしているのを見かけても、無理やりやめさせる必要はありません。厳しく注意したりやめさせようとすることで、隠れて行うようになったり、罪悪感を感じたり、性をタブー視してしまうことにつながる可能性があるからです。

むしろ、貴重な性教育の機会だと捉えてみませんか?WHOでは、0歳からの性教育を唱えています。具体的には、0〜4歳の段階では、体の部位と働きを知ったり、体の清潔を保つことの大切さや性差を知り尊重することが目標として掲げられています。

家庭での性教育に関しては、こちらの「助産師が伝えたい性と命のおはなし~性教育っていつ頃から始めたらいいの?~」を参考にしてください。

子どものマスターベーションへの対応方法:3つのポイント

1.外陰部に異常がないかチェックしましょう
もし乳幼児期のお子さんがマスターベーションをしていることに気付いたら、まずはオムツ替えの時などに外陰部に異常がないかどうかをチェックしてみましょう。もしかしたら、炎症などが起こって痒みが出ているせいで触っているのかもしれません。他にも、痙攣(けいれん)のような動きでないかどうかも観察してみましょう。ご自身での判断が難しい場合は、動画に撮って小児科医に相談するのも一案です。

2.外陰部を触るときの約束を伝えましょう
もし外陰部や動きに異常がなければ、「ここ(おちんちん・おまた)は大切な場所なんだよ」「綺麗な手で触ろうね」「一人の時に触るようにしようね」といった説明と約束をするのも大切です。お子さんの年齢や理解度に応じてポジティブな言葉を選んで説明を繰り返し、プライベートゾーンの大切さを伝えてみましょう。

3.他の遊びに誘ってみましょう
また、癖や感覚遊びの一環で行っているのなら、声掛けや誘導で他の遊びに移ることもあります。お子さんが好きな遊びや行動を促すような声かけをしてみるのも対策の一つです。

まだ幼い我が子がマスターベーションをしているのを見つけると、ほとんどの保護者の方が驚かれることと思います。しかし、乳幼児期の自慰行為には性的な意義はないとされています。まずは、外陰部などに異常がないかチェックし、問題がなければ性教育の機会と捉えてお子さんのわかる言葉で体の大切さや触るときのルールについて話をしてみましょう。他の遊びに誘うのも対策の一つです。

<参考文献>
・WHO, Standards for Sexuality Education in Europe start their way to countries of Eastern Europe and Central Asia
・Michele L. Yang, et al, Masturbation in Infancy and Early Childhood Presenting as a Movement Disorder: 12 Cases and a Review of the Literature, Pediatrics, December 2005, 116 (6) 1427-1432
・Mallants, C., Casteels, K. Practical approach to childhood masturbation—a review. Eur J Pediatr 167, 1111 (2008)

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 中村早希

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