産婦人科医が伝えたい男性のプレコンセプション 〜正しい知識と対応〜

男性不妊症の多くの原因として「酸化ストレス」が知られています。「酸化ストレス」とは、生活習慣、病気の存在、ストレス、老化等の様々な原因により、体を傷つける活性酸素の産生が過剰となり、それを消去する抗酸化能とのバランスが崩れた状態をいいます。酸化ストレスが精子へダメージを与えると言われており、不適切な生活習慣や肥満などがその原因とも言われています。将来の妊娠のために、女性だけでなく男性が今から知っておきたいことをまとめました。

男性の不妊症の原因とは

不妊症の原因の約半数が、男性が原因と言われています。不妊症の評価のためクリニックを受診した男性の精液検査では、37%に異常所見を認めるとされています。原因としては精子を作る能力の低下が8割程度で、そのうちの40%は原因不明とされています。

この原因不明の精子を作る能力低下には、生活習慣が関与していると考えられています。

精子を作る能力低下の原因となる生活習慣

様々な不適切な生活習慣が原因と言われていますが、喫煙が一番影響が大きく、喫煙本数が多いほど影響が大きいと言われています。

次に問題となるのは陰嚢の温度上昇です。このような温度上昇を引き起こす原因として長時間の運転やデスクワーク、定期的なサウナ、タイトな下着などが挙げられます。

イギリスのNICE(National Institute for Health and Care Exccellence)のガイドラインでも男性の職業と5つの生活習慣(①過度のアルコール②喫煙③密着した下着④肥満⑤ドラッグ使用)に気をつけるように言われています。

男性パートナーが妊活に入る前に

アメリカの疾病管理予防センター(CDC)では、妊娠する前の男性に対して以下10項目の提言をおこなっています。

①計画を立てて実行する
②性行為感染症の予防、治療をしよう
③喫煙やドラッグ、過剰な飲酒をやめよう
④毒性のある薬に気をつけよう
⑤後天的な不妊症を予防しよう
⑥健康的な体重を維持しよう
⑦家族歴を学ぼう
⑧暴力に対する支援を受けよう
⑨精神的にも健康に
⑩パートナーに協力しよう

上記の生活習慣改善を行っていても、精液検査に異常が出ることがあります。そのような場合は、泌尿器科の受診などの専門的な治療介入が必要なことがあります。

今後の妊娠を考えた時、女性だけでなくパートナーとしての男性も自分たちの生活や健康に向き合っていきましょう。

参考文献
・Nagler HM, et al. Infertility in the male. St.louis:Mosby Year Book. Lipshultz Li,et al(eds).1997;336-359
・湯村 寧:平成27年度厚生労働省子ども・子育て支援推奨調査研究事業 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究
・Povey AC, et al. Hum Reprod 2012;27;2799-2806.
・Showell MG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2017;7;CD007807.
Centers for Disease Control and Prevention:Information for Men.


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(産婦人科医 佐伯 信一朗