妊娠糖尿病について知っておきたいこと(1)–妊娠中の治療法と産後の注意点

妊娠すると身体にはいろいろな変化が起こるものだと実感している方は多いと思いますが、目に見えないところで起きている変化もあります。今回はその一つである妊娠糖尿病についてまとめてみました。

妊娠糖尿病は妊娠中に血糖値の調整がうまくできない状態です

妊婦初期の健診では、全ての妊婦に対して血糖値のチェックが行われます。ここで異常が見つかると経口ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を溶かした液体を飲んでその後の血糖値の変化を見る検査)が行われ、そこでも異常を認めた場合には、妊娠糖尿病と診断されます。
血糖値の調整がうまくできていないことを糖代謝異常と呼びますが、妊娠中に診断される糖代謝異常には、妊娠糖尿病も含めて次の3種類があります。
1. 妊娠糖尿病
2. 妊娠前からすでに「明らかな糖尿病」と診断されている場合
3. 妊娠中に血糖値の大幅な上昇が確認され、「明らかな糖尿病」と診断された場合

妊娠糖尿病は、「妊娠中に初めて発見された糖代謝異常」のことを言い、他の2つとは区別されます。

妊娠糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法

妊娠糖尿病と診断された場合にはまず、食事療法と運動療法を行います。
食事療法には、1日に摂取するカロリー量を制限する、食事を1日3回でなく4~6回の少量ずつに分ける、といった方法があります。

妊娠中は一般的にどのような運動が健康に良いのかについては、こちらの記事もご参照ください。
(ただし、妊娠糖尿病と診断された方は、運動について必ず担当医の意見を聞いておきましょうね。)

妊娠糖尿病ではインスリン注射を使うこともあります

運動や食事療法だけでは血糖値がなかなか改善しない場合には、インスリン注射による治療が行われます。またこれらの治療とともに、血糖値をこまめに確認するために、自宅で自分で血糖を測定する場合もあります。

インスリン注射を使用している場合には、妊娠週数が進むにつれてその使用量が増えていくことが多いですが、ほとんどの場合は、産後に減量または中止できるため、インスリン注射の使用量が増えるたびに心配する必要はありません。

出産後は定期検診とライフスタイルの見直しを

産後は、出産してから6~12週間のどこかで経口ブドウ糖負荷試験を再び行い、血糖値が正常範囲に戻っているかどうかをチェックします。この時に血糖値が正常に戻っていれば、妊娠糖尿病は治ったとされインスリン注射などの薬をやめることができます。

ただし、妊娠糖尿病と診断された女性は、診断されなかった女性と比べて、将来に(普通の)糖尿病になる頻度が高くなることがわかっています。そのため妊娠糖尿病と診断された方には、産後も食事や運動などのライフスタイルを見直して気を配るようにすること、定期的に検診などで血糖値を調べるようにすること、をお勧めします。


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(産婦人科医 神保 覚子