公開日: 2025年6月30日
10代でも妊娠することは知っている一方で、学生生活やこれからの受験や就職、仕事のことが頭の中心を占めており、「妊娠なんて自分にはまだ関係ない」「出産なんてまだまだ考えられない」と思っている人が多いのではないでしょうか。
ただ、妊娠・出産にはタイムリミットがあります。最近は色々な選択肢がありますが、仕事のことだけでなく、妊娠・出産についても知識を持っておくことは、皆さんが自分で主体的に選択する助けになると思います。今回は産婦人科医の立場から、10代~20代前半のうちに知っておいてもらいたいことをまとめました。
妊娠の仕組みについては、こちらの記事をご覧ください。
35歳を過ぎると出産できる確率が低下

年齢とともに出産できる可能性が減少することは知っていますか? 女性には生まれたときから卵子の元になる細胞の数が決まっており、年齢とともにその数が減っていきます。また、時間の経過と共に卵子の質の低下も起こり、流産する確率が上がります。その結果、35歳を過ぎる頃から年々出産できる確率が減っていくのです。
不妊治療をした場合、35歳までは1回の治療で出産できる割合は20%程度でほぼ一定ですが、それ以降は年に2%ずつ低下し、45歳では2%程度になります。仕事を頑張りたいと思っている方でも、子どもが欲しい場合は35歳が一つのターニングポイントです。子どもを2人以上欲しいと考えている場合は、それも考慮する必要があります。
受精卵凍結・卵子凍結という選択肢

35歳前の出産が理想的ですが、どうしても難しそうな時には、卵子の老化に抗う方法があります。それは、先に卵子を採取して凍結保存する方法です。この方法を使えば、卵子の質を保ったまま妊娠のチャンスを残しておくことができます。ただし、この方法は投薬や処置のために複数回の通院が必要で、身体への負担が大きいだけでなく、全額自費のため経済的にも負担があります。凍結しておいた受精卵や卵子を利用する場合は、必ず自然妊娠ではなく不妊治療の胚移植での妊娠となることもご注意ください。
出産がゴールではない

子どもを産んで終わりではなく、その後の育児があります。体力や健康面でも若いうちの妊娠は有利です。また、若いうちの出産は親世代のサポートを受けやすいかもしれません。
一方で25~35歳はキャリア形成において重要な時期であり、パートナーに出会うタイミングも人それぞれですので、一概に「いつがベスト」とは言えません。
仕事との両立を考えている場合は、時間の使い方にメリハリが大切ですし、時には限られた時間の中で割り切ることも必要になると思います。パートナーや周囲との協力が得られるほど望ましいです。これを機によかったら自分の将来のプランを考えてみてください。いずれにしても、今は自分の体を大切にし、喫煙や過度な体重増減を避けるようにしてください。
また、生理痛が年々酷くなる場合も我慢しすぎずに産婦人科の受診を検討してください。今のうちから、今回お伝えした年齢についてのリミットとともにプレコンセプションケアについて知ってもらえると、より効果的だと思います。
<参考文献>
・日本産婦人科学会.2021年ARTデータブック
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインでご相談ください。