妊娠“超”初期にお酒や薬を飲んじゃった!妊娠や赤ちゃんへの影響は?

妊娠に気づくのは生理が遅れてからが一般的。つまり妊娠4週以降ですね。

しかし、妊娠に気づくまでの間にお酒や薬を飲んでしまった!何か悪影響があるのでは?と心配になってしまう方は多いですよね。

今回はそんなお悩みを解決する内容をお伝えします。

妊娠3週末までの薬・お酒の影響はほとんどありません

受精前や妊娠3週末まで(妊娠検査薬で反応が出る前の時期)は、薬やお酒を飲んだからといって、赤ちゃんに異常が起きてしまうことはほぼありません。薬やお酒のダメージによって、ごく初期の流産をしてしまう可能性はありますが、流産に至らなかった場合は、薬やお酒のダメージは修復されるため、生まれる赤ちゃんへの影響は出ないと考えられています。

ごく一部の処方薬(抗リウマチ薬、抗てんかん薬など)には、体の中に長期間残り、赤ちゃんに奇形などの影響を及ぼす可能性のあるものが存在するため、妊娠前から常用薬のある人は注意が必要です。

薬について:妊娠4週以降は注意が必要な時期です

この時期は、赤ちゃんの体の主な臓器が作られる“器官形成期”と呼ばれ、注意が必要な時期となります。

薬の添付文書という説明書に、“妊娠中禁忌”と記載がなければ、この時期に内服しても大きな問題はありません。しかし、添付文書の妊婦の欄には、“治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ”とか“投与しないことが望ましい”と書かれているお薬がたくさんあります。これらのお薬は安全であるという保証はないものの、通常量の内服によって赤ちゃんに影響が起きることはほぼないため、過度に心配する必要はありません。

実は、赤ちゃんに奇形が現れることがわかっているお薬(薬の催奇形性と言います)はごく一部です。妊娠中禁忌とされているものの中でも、妊娠初期のみの使用であれば影響はない、とされているお薬もあります。

お酒について:できるだけ妊娠前から控えましょう

お酒は少量なら大丈夫、と思われがちですが、お酒の影響は個人差が大きく、人によっては少量でも影響が出る可能性があると言われています。最初に妊娠3週末までは影響がないというお話をしましたが、思ったより妊娠が進んでいて妊娠4週を過ぎていた、ということはよくありますので、できれば妊娠する前からお酒は控えることが望ましいです。

とは言っても、妊娠初期と気付かずにお酒を飲んでしまったということもあるかもしれません。「もうダメなのかな…」と心配になる方も多いですが、単回の少量のアルコール摂取により、赤ちゃんに影響が出る可能性が急激にあがることは考えにくいため、既に摂取してしまったことを過度に心配する必要はありません。気づいた時点から禁酒しましょう。

なお、妊娠中の習慣的な飲酒は、赤ちゃんや妊娠経過にさまざまな影響を及ぼします。妊娠ごく初期以降の飲酒の影響は、こちらのジャーナルをご参照ください。

<参考文献>
・産婦人科診療ガイドライン産科編2023
・CDC “Fetal Alcohol Spectrum Disorders (FASDs)-Alcohol Use in Pregnancy”


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 稲葉 慶

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