月経困難症を引き起こす子宮内膜症ですが、不妊症や妊娠中の合併症の原因にもなり得ます。産婦人科医の立場から、妊娠出産を目指す方に是非知っておいてもらいたい内容をお伝えします。
不妊症の原因にもなる子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはそれに類似した組織が子宮以外にできる病気で、月経困難症がある方の70%に子宮内膜症が見られるという報告もあります。それだけでなく、不妊症の原因にもなり、子宮内膜症の方の実に30-50%が不妊症とも言われます。具体的には、
・卵巣機能の低下(卵子の質や排卵に影響)
・癒着や炎症による卵管の閉塞(精子や卵の輸送、受精に影響)
・炎症による慢性子宮内膜炎(着床に影響)
など様々な形で問題を引き起こすとされています。
子宮内膜症による不妊症のため、体外受精に進まれる方も多くいらっしゃいます。
妊娠中の合併症にも要注意
子宮内膜症は不妊症の原因となりますが、一部の妊娠中の合併症の原因となることも知られています。代表的なものとして、前置胎盤(胎盤位置の異常)が挙げられます。また、流産や早産、帝王切開率の上昇も若干あるとされています。
妊活前からの治療開始が大切
色々な問題を引き起こす子宮内膜症ですが、生理周期ごとに少しずつ悪化していく病気です。そのため、妊活をしていない時期から低用量ピルなどのホルモン製剤によって月経を調整し、悪化を抑制していくことが大切です。
また、卵巣に腫れがある場合は、手術をすることもあります。ホルモン製剤に関しては低用量ピルの他に、ディナゲスト、GnRH製剤、レボノルゲストレル子宮内放出システムといった種類がありますので、産婦人科を受診した際に相談するようにしてください。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 平塚大輝)