子宮筋腫が妊娠に及ぼす影響について

皆さんも子宮筋腫という病名は聞いたことがありますよね。中にはすでに子宮筋腫と診断されている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、子宮筋腫と妊娠の関係について、ご紹介したいと思います。

筋腫は子宮の良性腫瘍。癌ではありませんし、癌にもなりません。

そもそも、子宮筋腫とはどういう病気(状態)なのでしょう? 子宮は主に筋肉でできています。筋肉でできた袋といってもいいでしょう。その内側で妊娠が成立します。胎児の成長に合わせて筋肉も伸びて大きくなっていき、妊娠の満期にはもともとの大きさの7倍程度まで大きくなるといわれています。その筋肉の部分から発生した良性腫瘍が、子宮筋腫と呼ばれます。良性腫瘍なので、筋腫が原因で死亡することはまずありません。また、筋腫が癌になるということもまずありません(ただし、筋腫によく似た“肉腫”という癌に似た病気も、ごく稀ですが存在します)。

小さなものも含めると、30代の女性の30%、40代の女性の40%に子宮筋腫が存在するともいわれており、珍しい病気ではありません。

筋腫があると妊娠しにくいことも

大きな筋腫がある場合や、子宮の内側(つまり妊娠が成立するところ)に筋腫がある場合には、妊娠しづらくなる場合があります。妊娠を希望しているのになかなかうまくいかない場合には、筋腫の有無をチェックするのは必須の検査です。超音波やMRI、子宮鏡などで診断可能です。

筋腫が妊娠中に与える影響は?

筋腫がある状態で妊娠が成立した場合、妊娠中の女性ホルモンの影響により、筋腫が変化を起こして、痛みを感じることがあります。ただし、不思議なことに、起こることもあれば、起こらないこともあります。なかには、痛みが強くなりすぎて、日常生活に支障が出たり、入院が必要になったり、あるいは流産・早産の原因になることもあります。30週以降には自然と痛みが和らぐことが多いのも特徴です。

出産時の筋腫の摘出については主治医と相談を

大きな筋腫が子宮の下部、つまり分娩時の赤ちゃんの出口に近い場合には、帝王切開が必要になることがあります。筋腫が大きすぎて、分娩の妨げになることが理由です。

帝王切開になった場合に、「同時に筋腫も摘出してほしい」と相談を受けることが多くあるのですが、摘出するかどうかについては、慎重な判断が必要です。
妊娠中の子宮は、赤ちゃんに酸素や栄養を与えるために、極めて血の流れが豊富な状態になっています。その状態で筋腫を摘出すると、大出血につながる可能性があるためです。

非常に摘出しやすい筋腫であるか、あるいは筋腫を摘出しない限り赤ちゃんを取り出せない場合以外には、積極的な筋腫の摘出は同時に行わないことが多いです(施設や主治医の考え方もあると思いますので、詳しく相談する必要があるでしょう)。また、同様の理由で、妊娠中に筋腫の手術をすることは、よほどでないとありません。

以上、妊娠と子宮筋腫の関係について簡単に述べました。妊婦健診をきっかけに筋腫が初めて見つかることもよくあります。その場合、妊娠に影響するのか、産後に治療が必要なのか、どのような分娩方法を選択するのか、について、主治医の先生とよく相談する必要があります。
本稿がそのお役に立てれば幸いですし、さらに詳細を聞きたい場合には、産婦人科オンラインでご相談いただいても良いかと思います。


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師・助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 竹中裕