授乳中に接種しておきたいワクチンは?産婦人科医が解説します

最終更新日: 2024年6月27日 by 産婦人科オンライン

授乳中は、お薬や食べ物など何かと気を使いますよね。では、ワクチンは授乳中に接種してもよいのでしょうか?接種しておくべきワクチンはあるのでしょうか?ここでは、授乳中のワクチン接種について解説いたします。

妊娠中と授乳中で接種できるワクチンが異なります

ワクチンにはウイルスを弱めて作られた生ワクチンと、ウイルスを無毒化させて作られた不活化ワクチンの2種類があります。

生ワクチンは子宮内の赤ちゃんへ移行して悪影響を与える可能性があるため、妊娠中には接種できません。

しかし母乳の安全性に影響を与えるわけではないため、授乳中であれば生ワクチン・不活化ワクチンいずれも安全に接種可能となっています。

子どもを守るためにワクチン接種?

子どものワクチン接種はスケジュールが決まっており、生後すぐには接種できないものも少なくありません。

例えばインフルエンザは、生後半年をすぎるまではワクチン接種ができません。すぐ近くで接するお母さんがワクチンを接種しておくことが、お子さんを守ることにも繋がります。

他にも麻疹、風疹、水痘(水ぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)なども、お子さんの周囲の方が十分な抗体を持っていない場合にはワクチンを接種しておくと良いでしょう。

次の妊娠に備えたワクチン接種を

次の妊娠を望んでいる方にはぜひ接種しておいていただきたいものとして、麻疹ワクチン・風疹ワクチンがあります。

麻疹は妊娠中にかかると流産や早産を引き起こす可能性があります。風疹は妊娠初期(20週以前)にかかると、胎児感染を起こし、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風疹症候群を持って産まれてくる可能性が高まります。

麻疹と風疹のワクチンは生ワクチンであり妊娠中には接種できないため、十分な抗体を持っていない場合には妊娠前に接種しておく必要があります。特に前回妊娠時の妊娠初期検査で風疹抗体価が16倍以下だった方は要注意です。

麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)というものもあり、両方のワクチンを接種したい場合には便利です。

授乳中のワクチンの意義について、説明させていただきました。ご自身を守るため、お子さんを守るため、そして未来の赤ちゃんを守るため、ぜひ必要なワクチンの接種を検討してくださいね。

<参考文献>

特定非営利活動法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会.予防接種スケジュール.

産婦人科オンラインジャーナル.妊娠中に接種できる/できない予防接種と他の予防法を覚えよう!.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 平野喜子

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