思春期からできる確実な避妊方法

日本における中絶件数は減少傾向にあるものの、未成年の妊娠における中絶の割合は、14歳以下は79.6%、15‐19歳は61.9%と高い状況にあります。望まない妊娠を減らすことは、女性が自分の身体を守るために大切です。今回は思春期の女性が、自分主体で確実に行える避妊方法についてまとめました。

初経がきたらピルの内服による避妊が可能です

 低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)は避妊効果が99.7%*1と高く、女性主体で行える避妊法の代表です。一般的に、初経がきたら内服を開始することが可能であるため、思春期の女性も使用することができます。

 月経困難症などの治療に使用される低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP、低用量ピル)も構成されるホルモンの種類や量はOCと同じであるため避妊効果があります。ただし日本ではこれら2種類は現在のところ区別されており、避妊目的の場合のピルの処方は自費になります。

*1 100人の女性が正しい方法でピルを内服した場合の妊娠は1年間で0.3人程度

ピルの内服が難しい場合は、子宮内システムの挿入が検討されます

 ピルを毎日内服することが生活上むずかしかったり、持病のためにピルを内服できない場合などには、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システム(IUS、ミレーナ)が検討されます。正しく挿入されている場合の避妊効果は低用量ピルとほぼ同じ程度と高く、1度挿入したら5年間効果が持続します。

 過多月経や月経困難症には保険が適応されますが、避妊目的の場合は自費になります。

 子宮の奥の方に挿入するので挿入時に痛みを伴うため、思春期女性の場合の挿入は担当医との相談が必要です。

性感染症予防のためには、コンドームの併用も重要です

 低用量ピルやミレーナは女性主体で行える効果の高い避妊法ではありますが、性感染症の感染は予防できません。性感染症の予防のためには、コンドームの併用がすすめられます。ただし、日本で主流となっているコンドームのみによる避妊は、どうしても男性の協力が必要です。また理想的な使用をした場合の避妊失敗率は2%、現実的には15%というデータもあり、実は効果が低い方法であるということを知っておくことも大切です。

<参考文献>

厚生労働省.令和3年度衛生行政報告例の概況.母体保護関係.

WHO.Contraception.

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(産婦人科医 青栁百合

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