帝王切開は何回まで繰り返せるの?産婦人科医が解説します

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

わが国でも近年は、5人に1人は帝王切開分娩で生まれてくるほど、帝王切開の割合は増えています。帝王切開を一度すると、多くの場合は次の分娩も帝王切開となります。では帝王切開は何回まで繰り返すことができるのでしょうか?

帝王切開の次回の妊娠に対する影響は?

帝王切開は、赤ちゃんかお母さんに何らかの理由があるために下からのお産が困難な時や、もしくは救命のために急いで分娩が必要な時に行う手術です。

一般的に帝王切開後の妊娠では
・子宮破裂(前回の子宮の創部が破れてしまう)
・前置胎盤(子宮の出口の内側を覆うように胎盤が付着してしまう)
・癒着胎盤(胎盤が子宮の壁に強くくっついていて出産後に多量出血の危険性がある)
などが起こる可能性が高くなるといわれています。

帝王切開の回数に明確な制限はありませんが、施設によって制限を設けている場合も多くあります

前置胎盤の帝王切開は大量出血を伴う、大変リスクの高い手術です。また前置胎盤の中には癒着胎盤を合併することもあります。前置胎盤と癒着胎盤が同時に起こる頻度は、既往帝王切開の回数が1回で11%、2回で39%、3回で60%以上に増加するという報告もあり、帝王切開は3回までと回数に制限を設けている施設も少なくありません。

帝王切開の回数が増えると、様々な合併症が起こる確率が高くなるのは事実なのです。

主治医と分娩方法や今後の家族計画について相談してみましょう

もちろん4回目以降の帝王切開でも特にトラブルがない妊娠出産経過をたどる場合もありますし、状況によっては1回だけでも合併症が起こる場合もあります。
個別の分娩方法やリスクに関しては、主治医に相談してみてくださいね。
また、このような情報を踏まえて、今後の家族計画について考えてみることもお勧めいたします。

<参考文献>
・Grobman WA, et al. Obstet Gynecol 2007; 110: 1249-1255.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 青栁百合

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