「母健連絡カード」とは?〜内容や職場への出し方について〜

最終更新日: 2024年5月27日 by 産婦人科オンライン

働く妊産婦にとって大事な書類である「母健連絡カード」。その内容や利用方法について、フォーマットや制度の面から理解しておきましょう。

「母健連絡カード」とは?

母健連絡カードとは、母性健康管理指導事項連絡カードのことで、いわば「妊産婦用の診断書」です。産婦人科の医師や助産師から、会社に対して「働く妊産婦のための指導」を伝えるための書類です。

現代では多くの妊産婦の方が働いています。しかし、つわり・切迫早産など、どうしても働くにあたって何らかの制限をしなければならない場合もあります。そんな時、「どんな配慮・制限が必要か」を具体的に伝える書類が、この母健連絡カードなのです。

また会社は母健連絡カードを提出された場合、記載内容を遵守する必要があります。

画像の出典:厚生労働省. 母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について.

妊婦さんの状況や配慮の仕方などが書いてあります

実はこの母健連絡カード、男女雇用機会均等法13条に基づき、厚生労働省で様式が定められた公式な書類です。このため母子手帳の中にも書式が載っており、各市町村・病院でも同じ様式で準備されています。

内容としては「どんな状態か(症状)」、「どんな配慮が必要か(指導事項)」、「いつまで必要か(期間)」が主に書いてあります。選択式になっているので、会社の担当者にとってもわかりやすい書類になっています。

また選択式では書ききれない項目については、自由記述欄で伝えることができるので、細かい状況にも対応が可能です。

画像の出典:厚生労働省. 「母性健康管理指導事項連絡カード」様式の一部.

母健連絡カードは速やかに会社の担当者か上司へ提出しましょう

母健連絡カードを受け取ったら、速やかに会社の担当者、もしくは上司へ提出しましょう。「診断書と同様の扱いをする」と定められているため、他に診断書などの「医師の記入する書類」を提出する必要はありません。

ただし、社内で社員本人が書く別の書類などを定めている場合は、そちらも可能な限り記入するとスムーズに進むでしょう。

なお、妊産婦が適切な配慮を受けるために母健連絡カードが「必須」というわけではありません。急に体調が悪くなった場合などは、適宜不利益のないように配慮することが会社には求められています。必要に応じて状況を伝えつつ、継続的に対応が必要な時には、母健連絡カードを上手に使いましょう。

なお、下記の記事もぜひ参考にしてください。
働くプレママが活用できる社会制度とは
新型コロナウイルス感染が心配される今こそ知っておきたい、働く妊婦さんを守る母健連絡カード

<参考文献>
・厚生労働省. 妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ.
厚生労働省.女性労働者等の母性健康管理について.


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(産婦人科医・産業医 平野翔大

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