いつも笑顔で子どもに接したい・・・
そう思っているのに、どうしてもイライラしてしまったり、どう接していいかわからないなど、育児中なら誰しもこうした経験があるのではないでしょうか?
ここでは、虐待とは言えないまでも、大人から子どもに対する避けたいかかわり(マルトリートメント)とその対処法についてご紹介します。
マルトリートメントは、子どもの将来に影響を与えます
マルトリートメントとは、「虐待とは言い切れない、大人から子どもに対する避けたい関わり」のことです。例えば、次のような関わりを指します。
・「あなたのため」と親の意見を押し付ける
・「だからあなたはダメなのよ」と否定する
・子どもに夫婦喧嘩を見聞きさせる
・スマホなどで長時間子どもに動画視聴やゲームをさせる
・親が全裸で部屋をウロウロする
昨今では、「自転車の補助イスに子どものみを乗せておき、買い物をする」「高層マンションのベランダに踏み台となるような物が置いてある」なども含まれるとされています。
そして、こうした行為が繰り返される事により、事故や怪我のリスクが高まったり、子どもの心身の健康や行動に悪影響を及ぼすこともわかってきています。
「しつけのつもり」や「かかわりかたを知らない」ことで、繰り返してしまう事もあります
マルトリートメントを行ってしまう背景には、”自分自身もそうされて育ってきたのでそれが普通だと思っていた”という人も少なくありません。
また、親自身に余裕がなく、「子どものため」「しつけのつもり」でしてしまったり、子どもとの接し方が分からないことで、知らぬ間にマルトリートメントをくり返してしまう事もあります。
自分の育児に自信が持てなかったり、支援者不足などにより、そうした関わりに至ってしまう事も多いです。
さらに、産後のホルモンバランスの変化、睡眠不足など疲れが出やすい時期で、その後の育児でも子ども中心の生活で疲れや睡眠不足が続く事も原因の一つと考えられています。
うまくいかない時は、自身の気持ちを落ち着ける工夫をしたり、周りにSOSを出してみましょう
子どもと適切に関わるためのポイントについて、具体的にお話しします。
・子どもにイライラしてしまったら、まず深呼吸を!
→体罰や暴言、否定的な言動はどれも咄嗟の行動です。イライラした時に深呼吸することで、一旦気持ちをリセットさせる効果があります。
・声を出して子どもに働きかけましょう!
→「お着替えしようね」「ご飯を食べようね」など当たり前に思えるかもしれませんが、意識してコミュニケーションをとることで、親子の心も癒すことにつながります。
・一人で抱え込まず、周囲に助けを求めましょう!
→家族や友人、地域のサービスなどの利用で、少しでも自分のための時間を持ちましょう。不安な気持ちはそのままにせず、誰かに聞いてもらう事も大切です。
このように、マルトリートメントとならないような関わりを意識することが大切です。
ぜひご自身だけでなく、周囲に子どもとの関わりで困っている人がいたら、共有していただきたいと思います。「孤育て」にならないよう、社会全体で子育てをしていきましょう。
<参考文献>
一般社団法人 日本家族計画協会.「防ごう!まるとり マルトリートメント」
一般社団法人 日本家族計画協会.「マルトリートメントって?」
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 小松由美子)