更年期症状とセルフケア

40代に入ると心とからだの変化に気づく方も多いと思います。今日は更年期症状とそのセルフケアについてお伝えします。

01.更年期の多彩な症状

日本人女性の閉経年齢の平均は52歳といわれています。閉経年齢の前後5年間をあわせた10年間を更年期と呼びます。

更年期の症状は程度も内容も多彩です。全く日常生活に支障がなかったという方もいらっしゃいますし、逆に普段と同じ生活が送れないほど強い症状が出る方もいます。更年期症状としてあげられるのは以下のような症状です。

●血管運動神経症状(ほてりや急な汗、冷え)

●自律神経症状(頭痛、めまい、息切れ)

●体の痛み(膝や手首などの関節痛、肩こり)

●精神症状(不眠、不安、倦怠感、ゆううつ、イライラ)

●泌尿器・生殖器系の症状(尿漏れ、性交痛、外陰部違和感)

この中で、血管運動神経症状に関しては、ホルモン補充療法がとてもよく効くので、婦人科の受診をおすすめしたいです。それ以外の症状がある方、また受診の前にセルフケアを試したい方におすすめの方法をお伝えします。

02. 更年期のセルフケア、おすすめは運動すること!

更年期症状のセルフケアとして生活習慣の改善があげられますが、最もおすすめしたいのが運動することです。運動には抗うつ薬に負けないくらいの抗うつ作用があり、気分をよくすることが分かっています。外を走ったり、ジムで筋トレすることだけが運動ではありません。自宅で5分の軽いストレッチをすることから始めて、毎日の習慣にすることをおすすめします。今は更年期女性向けの運動の紹介がYouTubeなどの動画サイトに豊富にあります。ぜひ参考にしてください。

また、尿漏れ症状がある方には骨盤底筋体操と呼ばれる運動がおすすめです。こちらも今は「腟トレ」などの名前で分かりやすく紹介されていますので参考にしてください。

理想は毎日運動することですが、難しければ週1回からでもかまいません。運動習慣をつけ、つづけていくことはあなたの気分を明るくし、自信につながりますよ。

03.更年期症状に効果のあるサプリメント、エクオール

更年期症状に効果があると認められているサプリメントに「エクオール」があります。エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌に分解されてできる、女性ホルモンに似た物質です。エクオールを産生する菌を腸内にもつ人は大豆食品をとることでエクオールを産生できますが、日本人女性の2人に1人しかエクオール産生菌を持っていないとされます。エクオールはサプリメントとして販売されており、これを摂取すれば産生菌を持っていない方でもエクオールが摂取でき、更年期症状の改善が期待できます。大手製薬会社から販売されているエクオールサプリメントは月に4000円程度で購入可能です。

更年期の不調は体力的、社会的、精神的、いろいろな原因からあらわれます。心身の不調は、自分を見直すよい機会です。自分をいたわる時間をもって、生活習慣や生活環境を整えてみてくださいね。また更年期には必ず終わりがあります。今はつらくとも、必ずよくなる時が来ることをお伝えしておきます。

下の日本女性医学会ホームページには更年期に関する詳しい動画がありますので、参考にしてください。

<参考文献>

日本女性医学学会. よくある女性の病気【更年期女性に認められる症状】.

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 高山怜子

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