最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
産後の体型に関するご相談で、”出産したのにお腹がへこまない”というお悩みはとても多いです。妊娠中大きくなった子宮は、産後6~8週間かけて元の大きさに戻っていきます。しかし、その後もお腹がへこまない場合には、脂肪の蓄積や内臓の下垂、筋力低下といった原因が考えられます。今回は、産後のへこまないお腹に対する日常の注意点や、解決のためのヒントについて説明したいと思います。
猫背は下腹部ぽっこりの原因になるため正しい姿勢を意識しましょう
海外の研究では、猫背(胸椎後弯)が強いほど、子宮の一部または全部が腟からでてしまう病気(子宮脱)の発生率が高いという報告があります。
解剖学的にも、猫背だと骨盤が後ろに傾きやすくなります。すると、骨盤内の臓器を支えている筋肉(骨盤底筋群)へかかる負荷が大きくなり、臓器が下垂しやすくなるため、下腹部ぽっこりにつながる可能性もあります。
下腹部ぽっこりがなかなか改善しない方は、普段の姿勢を見直してみることが大切です。
お子さまを抱っこするときや授乳時など、普段から正しい姿勢を保てるように意識してみてください。正しい姿勢についてはこちらを参照ください。
腹筋を鍛えることは見た目の引き締めに効果的です
筋力をつけることで、見た目が引き締まります。妊娠中は子宮の増大とともに腹筋が伸ばされ、力を入れにくい上、運動不足などもあり腹筋が弱くなる傾向にあります。
腹筋の中でも最も深層に位置する”腹横筋(ふくおうきん)”は、”自然のコルセット”といわれ、腹部を一周包むように下腹部まで広範囲にあり、お腹の引き締めや体幹を安定化させるために役立ちます。
腹横筋を鍛えるのにおすすめなのは、深い呼吸とともにお腹をへこませたりふくらましたりする運動(ドローイン)です。
- 膝を立てて、仰向けになる
- 息を吐きながらお腹を小さくしていく
- 吸いながらお腹を膨らませる
※まだ慣れないはじめのうちは、お臍の下あたりに手を添えながら行うとお腹の動きがわかりやすいです。
※2.では、息を吐き切ったときに腰をマットに押し付けるような感覚です。
※慣れてきたら2.のときに膣も一緒に締めて、3.のときに緩めていくような感覚が持てるとよいです。
コツがつかめるといろいろな姿勢でもできます。料理を作りながら、掃除をしながらなど、育児や家事で忙しい合間を使って行ってみましょう。
尿漏れがある方や、すでに骨盤内臓器脱がある方は、腹横筋より骨盤底筋を意識して強化しましょう。骨盤底筋群を鍛えるエクササイズに関してはこちらを参考にしてみてください。
産後1年以上たってもBMI25以上の場合は、減量を意識しましょう
日本肥満学会の定めた基準では、BMI25以上は「肥満」に該当し、理想の体型を目指すだけでなく将来の生活習慣予防、健康維持のために減量を考えていく必要があります。
(※肥満の判定に用いられるBMI(ボディマスインデックス)は、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます。)
妊娠中に推奨されている体重増加よりオーバーしてしまった方は、その後も妊娠前の体重に戻ることなく、体重が増加したままの傾向にあることがわかっています。
産後1年目の終わり頃を目安に、「肥満」に該当する方は体重を減量することを意識していきましょう。
減量のためには、食事や運動習慣の改善、継続していくための意思(精神力)を養うことなど様々な方向からのアクションが必要です。
目的や目標があった方が何事も続きやすいですが、〇〇kg落とすという目標よりも、まずは現在の生活習慣を見直し、すぐにでもできそうなことからはじめて続けていくことがコツです。すぐに結果に現れなくても、改善したことや継続できていることなど、一歩踏み出せた自分を褒めやすいからです。できていることを書き出してみるのもおすすめです。書き出すことで自分を客観視し、新たな選択肢を増やすきっかけにもなります。
よろしければ、「産後の体重・体型を戻すには? 〜今日から始める運動&食事の工夫〜」も参考になさってください。
日々の育児・家事の合間でもできることを意識し、継続することが大事です。
根気よく気長に続けられる方法を。
できることからやってみるのもいいかもしれません。
上杉雅之監修.理学療法士のためのウィメンズヘルス運動療法.2019
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 齊藤麻木)