子宮頸がん検診で「要精密検査」と言われたら?!

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

子宮頸がん検診を受け、「異常がある」「精密検査が必要」と聞いたらとても不安になりますよね。検査結果の意味を正しく理解し、きちんとフォローアップを受けることが重要です。

「異形成=がん」ではない

子宮頸がんが発症するには段階があります。

正常

軽度異形成

中等度異形成

高度異形成

上皮内癌

子宮頸がん

これらはグラデーションのように連続しており、がん検診は子宮の入り口をこすって得られた細胞を顕微鏡でみることで、どの段階に当たりそうかを想定する検査です。

がん検診(細胞診)は、この段階のあたりをつける(スクリーニングする)ことが目的です。詳しい状態は精密検査である組織診(=生検)を行うことで確定されます。

がん検診ではどのような結果が返ってくるのでしょうか?

がん検診を受けると、最もよい結果は「陰性」という結果が返ってきます。しかし、分かりにくいのはそれ以外の場合です。

次に多いのが「ASC-US」。アスカス、またはアスクユーエスと呼びます。この場合のほとんどはがんであることはありません。HPV(ヒトパピローマウイルス)検査というものを行い、精密検査が必要かどうか判断します。

LSIL、ASC-H、HSIL、AGC、SCC、AIS、Adenocarcinomaという結果の場合には、組織診をすぐにおこない状態を判断します。

数字を見ても「ステージ」と「クラス」を混同しないで!

がん検診で主に用いられる細胞診の判定方法は現在ベセスダ分類というものが主流ですが、昔はクラス分類(細胞の見え方から5段階に判定する方法)を使っていました。

がん検診での偽陽性は、クラス分類ではクラス2やクラス3という表現となり、今でも使われることがあります。検査を受けた方は、この数字をがんのステージ(進行期)と混同しないようにしましょう。これを見てステージ2や3と思い込み、色々調べて恐怖を感じてしまう方がたくさんいらっしゃいます。

子宮頸がんのステージは1から4まであり、がんという確定がされた患者さんは病気の広がりを様々な方法(内診、CT、MRIなど)で評価されていきます。がん検診の段階ではこのようなステージは判定しません。

がん検診の判定の仕組みは複雑で誤解や混乱も多いです。

要精密検査の結果が返ってきても、まずは焦らず自身の状態がどのあたりになるかを精密検査できちんと判断してもらいましょう。


*参考文献
日本予防医学協会. 検査結果の見方「子宮がん検診(子宮頸部細胞診・HPV検査)」


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(医師 鈴木 幸雄

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