最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
出産予定日が近づくにつれて赤ちゃんに会える喜びもありつつ、「陣痛ってどんなものなんだろう?」という思いもあるのではないでしょうか?今回は、陣痛を味方につけて出産を効果的に進めるための方法についてご紹介します。
出産を順調に進めるためには3つの要素が大切です

出産には「娩出力=陣痛といきむ力」「産道=赤ちゃんの通り道」「娩出物=赤ちゃん、胎盤など」という3つの要素が大切です。この3つがバランス良く働くことで、出産がスムーズに進行します。
分娩の3要素の中でも娩出力は、とても重要な働きをしています。今回は「娩出力=陣痛」を味方につけるために産痛を和らげるポイントをお伝えいたします。
産痛を和らげる2つの方法は?

「産痛」という言葉を聞いたことがあると思いますが、産痛とは一体何でしょうか?産痛とは出産時の痛みのことであり、子宮が強く収縮したり、産道が開いたり、圧迫する時に感じる痛みのことを言います。痛みの部位や程度は分娩が進むにつれて少しずつ変化し、また感じ方にも個人差があります。
ここでは、産痛を和らげる方法を2つご紹介します。
1.分娩第一期にお湯に浸かる
産痛を和らげたりリラックスするための方法として、「入浴」があります。興味がある方は、出産予定の施設で陣痛中に入浴できるかどうか事前に確認しておいてもいいかもしれません。もし入浴できない場合も、痛みを感じる部位を温めたり、マッサージを行うことで、痛みが和らぐと感じる方もいます。
2.鍼療法や指圧
過去の研究から、鍼療法や指圧には産痛を軽減する効果があると報告されています。また、満足度が高まったり、帝王切開の割合が減るという研究結果もあります。分娩施設で鍼療法を受けられるのは稀かもしれませんが、付き添ってくれるパートナーや家族、助産師に指圧をしてもらってもいいかもしれません。
陣痛の時に鍼療法や指圧でよく使われるツボには、三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)、腎兪(じんゆ)や次髎(じりょう)、神門(しんもん)などがあります(妊娠中の刺激は避けた方がいいツボもありますので、37週を過ぎてから試してみましょう)。
いざ陣痛が始まりツボがわからなくなってしまったときは、痛みを感じる腰や、力んで凝ってしまいがちな肩、腕、足などをマッサージしてもらうだけでもリラックスにつながるかもしれませんよ。
分娩進行を促すための方法は?

出産は分娩の3要素がバランス良く働くことで順調に進みます。そこに少しの工夫を加えることで、分娩の進行を促すことができる場合もあります。
1.陣痛がきたら、身体を起こして自由に動く
分娩進行中は、母児の安全が確認できる状態で自由に動くことが勧められています。過去の研究からも、分娩第一期(子宮の出口が全て開くまで)や分娩第二期(子宮の出口が全て開いてから出産まで)に仰向けや横向きに寝ている姿勢で過ごすことよりも、上半身を起こして自由な動きをする方が、分娩時間を短縮する効果があると言われています。
体調にあわせながら、できる範囲でご自身にとって快適な姿勢を見つけることが大切です。
2.鍼療法や指圧が、陣痛促進の方法の一つとなることもある
三陰交(さんいんこう)への鍼療法や指圧によって、分娩所要時間が短くなったという研究が複数報告されています。三陰交は内くるぶしから指4本分上にあるツボです。妊娠初期や中期の刺激は控えた方がいいとされているので、37週を過ぎてから試してみましょう。
その他に分娩が順調に進むためのポイントは、リラックスして過ごすことです。過度な緊張はさらなる痛みを引き起こし、またその痛みで不安も強くなり、その結果、さらに大きな緊張へと繋がります。
リラックスをすることで緊張が和らぎ、不安や痛みも和らぎます。そうすることで、分娩の進行を促すことへと繋がります。
出産は人生で何度も経験できることではないと思います。緊張もあると思いますが、ここでご紹介したことを参考に、気負わず乗り越えましょう。応援しています!
<参考文献>
日本助産学会 エビデンスに基づく助産ガイドラインー妊娠期・分娩期・産褥期2024
Smith CA, Collins CT, Levett KM, Armour M, Dahlen HG, Tan AL, Mesgarpour B. Acupuncture or acupressure for pain management during labour. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 2. Art. No.: CD009232.
高橋汐南他.熟練助産師による分娩の第4要素を踏まえた助産ケア.国際医療福祉大学学会誌2022;27(1),92-102
立岡弓子.新訂版周産期ケアマニュアル第3版.サイオ出版.2020
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(助産師 村井 亜子)