最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
「羊水検査」「出生前診断」について聞いたことはありますか?お腹の赤ちゃんになにか異常がないかどうか、不安に思ったことは誰しもあると思います。今回は羊水検査について解説していきます。
羊水検査は出生前診断の1つ
出生前診断とは、胎児の染色体に異常がないかどうかを調べるものです。染色体異常の例としては21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーなどが挙げられます。
出生前診断の方法には、大きく分けて2通りの方法があります。
1つ目は母体の血液を使って行う、母体血清マーカーやNIPT(Noninvasive prenatal genetic testing)です。この検査でわかるのはあくまでも染色体異常の「確率」で、診断が確定するわけではありません。
2つ目の方法として羊水検査や絨毛検査があり、これらの検査で胎児の染色体異常の有無をほぼ確定させることができます。
広い意味では妊婦健診でのエコーも出生前診断に含まれます。
羊水検査の方法、費用
羊水検査は、エコーで赤ちゃんの様子を確認しながらお腹に細い針を刺して羊水を採取し、赤ちゃんの染色体異常の有無を調べる検査です。
外来または日帰り入院で実施する施設が多いです。
検査にかかる時間は30分程度ですが、その後30分~1時間程度はベッド上安静とし、最後にもう一度エコーを当てて終了します。
羊水検査は妊娠15週~17週の間に行われることが多く、結果がわかるまでにおよそ2週間かかります。
費用は施設によって異なりますが、10万円~20万円かかることが多いです。
羊水検査は万能な検査ではない
羊水検査ですべての胎児の異常を発見することはできません。また確率は0.13〜0.27%と低いですが、流産や胎児損傷のリスクもあるため全ての妊婦さんに必要な検査ではありません。
検査の結果が検査後の方針に大きく影響するケースもあるため、いかなる出生前診断を受ける前であっても、カップルで遺伝カウンセリングを受けることが理想的です。遺伝カウンセリングでは、正しい情報を元に、検査を受けることの意味やその後のサポートについて相談できます。しかし、遺伝カウンセリングを実施している施設はまだ多くないため、出生前診断を受ける前には少なくともかかりつけの産科の医師やパートナーとよく相談してみてくださいね。
<羊水検査のポイント>
・羊水検査は出生前診断の一つ
・羊水検査により胎児の染色体異常の有無を知ることができる
・検査の前には、遺伝カウンセリングを受けることが望ましい
*参考文献
American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bullentins Obstetrics; Committee on Genetics; Society for Maternal-Fetal Medicine, Practice Bulletin No. 162: Prenatal Diagnostic Testing for Genetic Disorders. Obstet Gynecol 2016; 27: e108-e122
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(医師 島袋 朋乃)