最終更新日： 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

妊娠中の皮膚の変化は、ホルモンバランスの変化や血流の変化によって、どんな方にも出てくる可能性があります。普段の健診ではあまり先生に聞きにくいことでも、気になるのは当然。今回はクモの巣状静脈、下肢静脈瘤についてまとめました。

クモの巣状静脈は生理的なもので産後は消失します

クモの巣状静脈は、妊娠中に血管内の血流が増えることで、毛細血管が広がり、顔や首、腕に生じる赤い線状の変化です。触ってもほとんど平らで、ボコボコと膨らんでいることは通常ありません。
これは妊娠による一時的、生理的な変化のため、ほとんどの場合、出産後に自然消失していきます。

静脈瘤は下肢に多くでき、痛みを伴うこともあります

妊娠中は、大きくなっていく子宮の重みや圧迫により、足から心臓に血流が戻りにくくなります。これにより足の血管が膨張し、青っぽい下肢静脈瘤として現れることがあります。妊娠中は、静脈瘤が外陰部や腟にも発生する可能性があります。
静脈瘤が足にできると、重い感覚や痛みを伴うこともあります。
ただ、普通に生活していて、膨れた血管が破れて大出血するなどの怖いトラブルは滅多に起きません。

静脈瘤の予防方法は？

静脈瘤を完全に予防する方法は残念ながらありませんが、以下の対策は足のむくみや痛みを軽減することに役立ちます。

・長時間座ったままや立ったままの姿勢でいるときは、こまめに歩いたり足を曲げ伸ばししましょう
・足を組んで長時間座らないようにしましょう
・可能ならば、カウチや椅子、足乗せ台で足を支えるようにしましょう
・定期的な運動を心がけましょう
・弾性ストッキングを活用しましょう
・便秘を予防しましょう（線維性の食事、多めの水分摂取など）

なお、妊娠中の運動についてはこちらをご参照ください。
「妊娠中は適切に運動をして、健康なマタニティライフを！」
「妊娠中は適切に運動をして、健康なマタニティライフを！(2)ー具体的な運動方法」

足に生じるクモの巣状静脈や静脈瘤は、見た目にも目立ちますし、痛みを伴うこともあります。
特に静脈瘤は一度できてしまうと妊娠中に治すことが難しいため、できるだけ予防するような工夫をしてみてくださいね。

他に、妊娠中の皮膚トラブルとして、
　色素斑（シミ）や妊娠線についてはこちらをご参照ください。
　「妊娠中にできる色素斑（シミ）と妊娠線の対策とは？」
　ニキビのケアについてはこちらをご参照ください。
　「妊娠中にできるニキビの対策とは？」

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師・助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

（産婦人科医　重見大介）