妊娠前からできるこころとからだの準備〜精神疾患があっても安心な妊活・出産3ステップ〜

公開日: 2025年9月9日

最終更新日: 2025年9月9日

妊活を始めたいけれど、「薬は続けていい?」「再発が怖い…」そんな不安を抱えたまま妊活を始める方は少なくありません。

実は妊娠前からこころとからだを整えておくと、精神疾患があっても安全に妊娠・出産を迎えやすくなります。

ここでは押さえておきたい3つのステップを紹介します。

妊活前は「6か月の安定」と今の薬を全部チェック

精神疾患の症状が落ち着いた状態で連続6か月以上過ごせていると、妊娠中の再燃リスクが大きく下がります。

まずは主治医と再燃歴やトリガーを確認し、生活リズムを整えましょう。

加えて、バルプロ酸・カルバマゼピンなど催奇形性(お腹の中の赤ちゃんに生まれつきの体の異常が生じる可能性)の高い薬は妊活前に他の薬に変更しておくことが望ましいです。代替薬への切り替えには数か月かかることもあるので、早めの相談がカギです。

妊娠中の薬は最小有効量で“続ける”方が安全

「赤ちゃんが心配だから薬を全部やめたい…」と思いがちですが、症状の再燃はお母さんの健康を害したり、妊娠継続が困難な状態となる可能性を高めることもあり、母児ともに大きなリスクとなることがあります。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬など多くの精神病薬は、国際ガイドラインでも継続が推奨されています。

妊娠中期以降は体内の水分量が増える影響で、効き目が弱まる薬もあるので、薬の量に関しては医師とよく相談して調整しましょう。

産後4週は再燃ハイリスク期

出産後は、ホルモン急降下と睡眠不足が重なり、双極性障害で約50%が4週以内に再発すると報告されています。

退院前に、
① 夜間授乳の交代要員を確保
② EPDS(産後うつ病のスクリーニング検査)でのセルフチェックをする日をあらかじめ決めておく
③ 地域の母子保健・ピアサポートへの登録
をしておくとより安心です。

内服薬によっては、授乳方法を医師と相談すれば、母乳育児も可能になることもありますので、産後は 「自己判断で薬を中断しない」「少しでも変調を覚えたらすぐ相談する」ことを意識し、かかりつけ医とこまめに連絡を取りながら赤ちゃんとの新生活を始めてください。

妊活前の準備・妊娠中の薬の管理・産後の再燃予防という3ステップを押さえることで、精神疾患があっても安心して家族計画を進められます。焦らず、主治医と二人三脚で進めていきましょう。

<参考文献>
・ACOG Clinical Practice Guideline No. 5 ”Treatment and Management of Mental Health Conditions During Pregnancy and Postpartum” , Obstet Gynecol 141:1262-1294 (2023).
National Institute for Health and Care Excellence. Antenatal and postnatal mental health: clinical management and service guidance. CG192. London: NICE, 2014,
World Health Organization. Guide for Integration of Perinatal Mental Health in Maternal and Child Health Services. Geneva: World Health Organization; 2022,

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインでご相談ください。

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