妊娠・授乳中の健康診断や人間ドック、どの検査項目を受ければいい?

妊娠・授乳中に健康診断や人間ドックを受けることもあるかもしれません。どのような検査項目を選ぶと良いのでしょうか?

今回はがん検診なども含め、選び方について解説していきます。

「定期健診」の項目は受けましょう

人間ドックを受ける場合、ほとんどが会社の定期健康診断と一緒に受けることになります。まず定期健診として定められている以下の検査項目は、必ず受けなくてはなりません。

  • 問診(業務歴・既往歴など)
  • 身体測定(体重・身長など)
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 血圧・心電図

これらについては、特に妊娠・授乳中に赤ちゃんに影響することがないため、安心して受けて問題ありません。ただし、採血のうち一部は、妊娠中に異常値が出やすいものがあります。健診を受けるときには必ず「妊娠中であること」を伝えましょう。

「画像検査」は、要注意

妊娠中の健診・人間ドックで気をつけなくてはならないのは、「画像検査」です。

まず、CT検査・PET検査など放射線を多く用いるものは、妊娠中に健診や人間ドックとして行うのは避けましょう。

MRI検査については、妊娠中で必要があれば行いますが、これも健診や人間ドックとして行うのは避けるのが無難です。

また、胃カメラや大腸カメラなどは、麻酔や鎮静といった処置や、検査自体による影響がないとは言い切れず、これも避けた方が良いです。

総じて、「画像検査」については妊娠中は避けるのが良いでしょう。授乳中についても、鎮静や麻酔を用いると乳汁へ影響を及ぼすため、これらを用いた場合はしばらく授乳を控える必要性があります。

なお、超音波検査に関しては妊婦健診でも使っており、問題なく行えます。

「がん検診」は、主治医に相談しましょう

また、人間ドックにはがん検診が含まれることも多く、女性は妊娠・授乳中にがん検診の受診推奨タイミングが来ることもあります。

子宮頸がん検診は、妊娠初期の10週頃に必ず行います。このため、妊娠中に追加で行う必要性はありません。ただし、妊娠10週頃の検査で何らかの異常が認められた場合には、主治医と相談して産後に検査を受けましょう。

乳がん検診は、乳房のレントゲン=マンモグラフィ検査が勧められています。これは放射線を用いますが、妊娠中でも適切に対処することで実施可能です。

しかし、妊娠中や授乳中は乳腺組織が発達するため、マンモグラフィの画像が見づらくなります。そのため、基本的には避けられることが多いでしょう。

もし、しこりが気になる、などの症状があった場合は、人間ドックで検診を受けるのではなく、産婦人科で症状について相談するのが良いです。妊娠中授乳中の乳がん検診については他の記事にもまとまっているので、是非こちらもご覧ください。


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

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(産婦人科医・産業医 平野翔大

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