最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
まだ閉経するには早い年齢なのに、いつも通り来ていた月経が来なくなったらどうしたらいいのでしょうか?今回は40歳未満の方に起こる無月経について、そのリスクや治療法についてまとめてみました。
月経が90日以上来ない状態のことを無月経と呼びます
普段来ていた月経が来なくなると、”うっとうしい月経がなくなって、ラッキー”と考えてしまう方もいるかと思いますが、ちょっと待ってください。妊娠をはじめホルモンバランスの異常など、無月経となる原因は様々ですが、いずれも病院受診が必要な状態です。今回は無月経の原因の中でも、早発閉経(早発卵巣不全)について取り上げたいと思います。
*注釈:早発閉経ではその後に月経/排卵は再開しませんが、早発卵巣不全では治療等によって排卵/月経が再開し妊娠可能となることもあります。この区別は非常にむずかしいとされています。
早発閉経(早発卵巣不全)では様々な疾患に罹患するリスクが上昇します
早発閉経(早発卵巣不全)ではホルモンバランスが閉経に近い状態になるため、不妊症や更年期に似た症状を自覚することがあります。
その他、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが長期間不足することで、腟炎(腟が乾燥したり萎縮したりしすることで不快感や性交痛の原因となる状態)を起こしたり、将来的な骨粗鬆症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中といった怖い病気のリスクが上がってしまうと考えられています。
ホルモン補充療法で早発閉経(早発卵巣不全)による弊害を予防しましょう
30歳未満で0.1%の方が、40歳未満で1%の方が発症するといわれている早発閉経(早発卵巣不全)。遺伝的な要因や自己免疫疾患、放射線治療や抗がん剤の使用等が発症の原因となる場合もありますが、ほとんどの場合はなぜ発症するのかがわかっていません。
それでも、病院を受診して一般に閉経する年齢(50歳頃)までホルモン補充療法を継続することで、これらの疾患の発症を減らすことができます。
予防できる可能性のある疾患を予防しないのは、とてももったいないことです。ぜひホルモン補充療法についての詳細を産婦人科医に相談してみてください。
90日以上月経が空いてしまった場合、妊娠の可能性もありますが、その原因は早発閉経(早発卵巣不全)であるのかもしれません。将来的な怖い疾患発症リスクを減らすためにも、産婦人科医を受診し、適切な診断・治療を受けるようにしましょう。
<参考文献>
日本産科婦人科学会「産科婦人科用語集・用語解説集改定第4版」
女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版 日本女性医学会編 金原出版株式会社
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
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(産婦人科医 小椋 淳平)