最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
プロラクチンが高くなると排卵がうまくできず、不妊症のリスクとなります。無月経の方の約20%が当てはまる、高プロラクチン血症について解説します。
プロラクチンとは
プロラクチンは、主に母乳を作るはたらきをするホルモンで、脳から分泌されます。
妊娠していないときも分泌されていますが、出産後の授乳時には特に多く分泌されます。
出産に関係なく、プロラクチンがたくさん分泌される状態を高プロラクチン血症といいます。
高プロラクチン血症の原因
高プロラクチン血症の主な原因として、頻度の高い順に以下のものが挙げられます。
・プロラクチノーマ:脳にできる良性の腫瘍です。
・肉体的、身体的ストレスにより、ホルモンバランスが崩れている状態
・薬の副作用:胃潰瘍やうつ病、ピルなどの薬でプロラクチンが多く分泌されることがあります。
・甲状腺の機能が低下している状態
血液検査で高プロラクチン血症であった場合は脳のMRIを行ったり、脳や甲状腺のホルモンの分泌量を血液検査で測ることで原因を調べます。
高プロラクチン血症の身体や妊娠への影響と治療法
プロラクチンは母乳を作るホルモンなので、たくさん分泌されると出産後ではないのに母乳がでることがあります。また、排卵がうまくいかなくなり、月経の間隔が長くなったり、月経が止まってしまうことがあります。
高プロラクチン血症により排卵が正常に行われないと、妊娠することが難しくなり不妊症のリスクが高まります。また、高プロラクチン血症により流産してしまう確率が上がると指摘されています。
治療として、プロラクチンの分泌を抑える薬があるので、薬を飲むことで排卵できるようになり、流産のリスクを下げることができます。高プロラクチン血症の原因が甲状腺機能の低下の場合は、甲状腺機能を改善させる薬を内服します。
高プロラクチン血症は20~30歳代の女性に多い病気です。月経不順や無月経の方は、一度産婦人科にご相談ください。
参考文献
・日本女性心身医学会 女性の病気について
・青野敏博:高プロラクチン血症.図説プロラクチン,東京:医歯薬出版,1985;33-40
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 大村美穂)