最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
普段と違う閉経間近の月経トラブルって、本当につらいですよね。どの出血が心配しないといけないものなのかわからず、不安も募ると思います。どんな時に病院を受診したらいいのかを解説します。
月経が不規則になり、まるまる1年間月経がなかった場合を閉経と呼ぶ
女性にとって、月経は身体の健康状態を知る大切な指標の一つです。卵巣からの卵子の排出が完全に止まり、1年間以上月経がない状態を閉経と呼びます。閉経は通常、45歳から55歳の間に起こり、日本人は平均50.5歳で閉経するといわれています。個人差はありますが、閉経の前後には様々な月経トラブルを経験することがあります。
閉経間近の月経は、周期も出血量もバラバラになることが多い
閉経が近くなってくると、月経周期が乱れ、出血量もまちまちになることがしばしば見られます。数か月、月経が空いたかと思ったら2週間という短い間隔で月経が来たり、前回は普段と比較して出血量が少なかったと思ったら今回はたくさん出血したり。こういった月経周期や出血量の変動は、卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンという二つのホルモンの分泌量が不安定になることで起こります。個人差はありますがこういった月経の変化は誰にでも起きるものです。過度に心配する必要はありませんが、もう閉経したのかも、と気になる方は婦人科でホルモンの値の検査をすることが可能です。
閉経前後の異常出血には病気が隠れていることも
閉経間近の出血でも気を付けなければならない出血もあります。
あまりにも多量の出血が持続する場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因である可能性があります。放置することで気づかないうちに貧血症になってしまいめまいやふらつきを感じ、ひどい時には突然倒れてしまう原因になることもあります。
また不安定になった月経の裏には不正出血、そして癌が隠れていることがあります。閉経前後以降に不正出血があるといって病院を受診した方の約10人に1人(4-25 %)に癌がみつかったとの報告もあります。閉経前後の不安定になった出血は、原因が閉経が近いことによるものか、何かの病気からくる不正出血なのかは、なかなか判断ができません。
異常に多い出血、だらだらと続く出血など気になることがある場合には、婦人科での診察を受けることが勧められます。
いつ、どれくらいの出血量の月経が起こるかわからない、さらにそれがいつまで続くのかがわからないという状態が持続することで、身体的な負担だけでなく、心理的にもストレスを感じることがあるかもしれません。閉経、そしてそれに伴う月経異常は病気ではありませんが、不安なことがある場合には検査をしたり、出血を止めるために一時的に止血剤や漢方薬、ホルモン治療を行うことができますので一度産婦人科に相談してみてください。
参考文献
・「更年期症状・障害に関する意識調査」について
・女性医学ガイドブック 更年期医療編 2019年度版 第2版
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
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(産婦人科医 小椋 淳平)