月経不順や妊活時に重要な基礎体温の仕組みと測り方

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

月経不順があるときや、妊活希望があるとき、「まずは基礎体温を測ってみましょう!」といわれたことはありませんか?今回は、基礎体温の仕組みと測り方についてご紹介します。

基礎体温から何がわかる?

朝、目を覚ました直後で、からだを動かす前に測った体温を基礎体温といいます。女性のからだでは、月経周期の時期によってホルモンに変動がありますが、それによって基礎体温も変化します。
日々の基礎体温をグラフ状に記録したものを基礎体温表とよび、数か月つづけることによって自分のからだのリズムを知ることができます。

一般的に月経から排卵期までの「低温期」と排卵後から次の月経までの「高温期」の2つの時期にわかれており、その差は0.3〜0.5℃程度となります。これは排卵後にできる黄体という組織から分泌される黄体ホルモンの影響によるものです。
基礎体温が二相性(低温期と高温期がわかる状態)になっていれば、切り替わりのタイミングで排卵がおきたのだろうと予測できます。

基礎体温の測り方

朝起きてから、からだを起こす前に、そして何も食べたり飲んだりする前に体温を測ります。そのため横になったまま手の届く位置に体温計を用意しておく必要があります。生活のリズムによって難しいことも多いですが、毎日おおむね同じ時間に測ることを目指しましょう。体温計は婦人科体温計を使用し、口腔内の温度を5分間測ります。

毎日測れなくても、測る時間がずれてしまっても、まずは2〜3か月ほど継続してみることが大切です。グラフがとびとびであっても、全体像を見ることで、からだの大まかなリズムがわかることもあります。

基礎体温に関する注意点

基礎体温は、測る時間のずれ、睡眠不足、その時の体調(風邪をひいている時など)などでも変動する点には注意が必要です。
また基礎体温は妊活の時にも利用されますが、(二相性が確認できた後では)あくまでも排卵が起こったことがわかるのであり、これからいつ排卵が起こるかを予想するものではありません。そのため、排卵検査薬や帯下(おりもの)の様子なども併せて総合的に排卵日を予想することが重要です。

さらには黄体化未破裂卵胞(排卵しないまま黄体に変化したもの)も黄体ホルモンを分泌するため、実際には排卵されていないにもかかわらず、基礎体温表では高温期になることもあります。そのため、実際排卵が起こったかどうか正確に確認するには、超音波をふくめた総合的な判断が必要です。

このように基礎体温は自宅で得られる自分のからだのリズムを知るための貴重な情報ではありますが、それだけで月経不順の原因や妊活のタイミングのすべてがわかるわけではありません。二相性になっていても排卵がおきていない場合や、二相性にはなっていないようにみえても排卵している場合もあります。基礎体温測定を数か月継続した上で疑問やご不安が残る場合は、お近くの産婦人科にご相談されることをお勧めします。

<参考文献>
HUMAN+ 女と男のディクショナリー. 月経の正しい数え方・基礎体温のつけ方.
ACOG FAQs. Fertility Awareness-Based Methods of Family Planning.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 青栁百合

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