最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
2022年4月から保険適用になった不妊治療ですが、具体的にどんな治療が保険適用になったのか、自分は対象になるのか、分かりづらいところもあると思います。この記事で詳しく説明します。
保険適用になる治療と注意点
不妊治療のうち、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精、胚移植が保険適用になります。
また、それに伴う血液検査やエコー検査も基本的には保険適用になりますが、月に何回、という制限がある項目もあります。
一方で「保険診療と自費診療を一緒に実施してはいけない」という注意点があります。保険適用になっていない薬や治療法を一緒に受ける場合は(保険適応になるはずの項目も含めて)全額自費になります。これについては受診先の医療機関によってどのような治療を推奨しているかが異なりますので、担当医師と相談してみましょう。
保険適用になると治療費が3割負担になります
自費だと高額になりやすい不妊治療ですが、保険適用になったことで、患者さんの負担額は治療費の3割になりました。治療費は厚生労働省から決められた金額なので、全国どこの施設で受けても治療内容が同じであれば同じ金額です(もちろん、薬や検査の項目が異なれば費用は異なります)。
また、高額療養費制度も適用されるので、ひと月の保険診療での治療費が高額になった場合は申請することで費用が戻ってくることがあります。
治療によっては、保険適用に条件があります
不妊治療の保険適用になる条件は治療内容によって異なります。
タイミング法、人工授精においては制限はなく、どなたでも保険適用になります。
体外受精、顕微授精については、治療開始時の女性の年齢が43歳未満という制限があります。男性の年齢制限はありません。
また、治療回数にも制限があり、女性の年齢が40歳未満の場合は1子ごと(1人の赤ちゃんを出産するまで)6回、40歳以上43歳未満の場合は1子ごと3回までとなっています。
なお、保険適用になる前に行っていた治療の回数はカウントされず、所得制限はありません。
43歳以上であったり、制限の回数を超えた分は保険適用とならず、自費診療になります。
2022年4月から開始した不妊治療の保険診療ですが、今後も治療の適用範囲などが変更される可能性もあります。
これまでにも不妊治療に対する助成金などの制度はあったものの、所得や助成回数の制限により、結果的に高額負担になるケースがありました。しかし、不妊治療が保険適用になったことで、多くの方にとって費用負担が大きく軽減されるでしょう。
不妊治療の治療内容は種類や選択肢が豊富なので、かかりつけ医と相談してご自身が納得のいく治療を受けられるといいですね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 大村美穂)