今さら聞けない母子手帳の基本の『き』〜交付から活用方法まで〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

「母子手帳の存在は知っているけど、どういう手続きでもらえるか」、「どの様に使ったら良いのか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?ここでは、母子手帳の役割や活用方法について、是非知っておいてほしい内容をご紹介します。

母子手帳とは母子の情報が詰まった1冊の手帳です

母子手帳の正式名称は「母子健康手帳」と言います。妊娠健康診査の経過、出産の状況、乳幼児健康診査の経過、訪問指導や予防接種の記録の他、妊娠期から乳幼児期までに必要な知識や情報が記載されている1つの手帳です。妊産婦、乳幼児は、健康であっても急激に状態が悪化することがあるため、上記の情報が一眼でわかる母子手帳は、緊急時に正しい情報を共有できる非常に優れたツールです。記載の欄には、医療者や保健センター等専門職が記載する欄と保護者が記載する欄があります。

後に詳しく述べますが、保護者の記載する欄には、妊娠期の状況やお子様の成長をぜひ積極的に記載していきましょう。

母子手帳はお住まいの市区町村保健センターで受け取れます

妊娠が成立すると、まず子宮内に赤ちゃんの袋(胎嚢【たいのう】)が確認され、その後に赤ちゃん(胎児)、そして心臓の音(心拍)が確認されます。その後に出産予定日が決定されます。母子手帳交付の際にはこの出産予定日、妊娠を診断した病院名や医師名を記載する妊娠届を提出する必要があります。

母子手帳は子ども一人につき一冊です。つまり、多胎児の場合には、子どもの人数分の交付が必要となります。母子手帳をもらう妊娠10週前後は、つわりの症状が出現する人も多いです。また、ホルモンの影響で精神的に不安定になるお母様もいらっしゃいます。

交付時には10〜20分程度でアンケートの記載や、市町村で受けられる母子保健サービスの説明があります。体調不良によりご自身が届出に行けない時は代理人の受け取りが可能です。必要書類については市町村に問い合わせてみてくださいね。

母子手帳と共に交付されるのが「妊婦健康診査受診票」で、この受診票を持って妊婦健診を受ければ、市区町村からの公的補助を受けることができます。

母子手帳の記録はいざという時に役立つので、沢山メモしておきましょう

母子手帳内に記載されている育児情報にも注目です。
雑誌やSNS等、様々な情報が飛び交う現代社会の中で正確な情報を取得することは容易ではありません。母子手帳内の育児情報は、その中でも手軽に手にとって見ることができ、科学的根拠に基づいた信頼できる情報です。

先ほど、「保護者の記載する欄には妊娠期の状況やお子様の成長をぜひ積極的に記載してほしい」と述べました。母子手帳には、保護者の記載欄、そして医療者や保健センターの記載欄があり、「手帳内にある項目以外は記載してはいけないのかな」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、手帳内の記載欄は自由に使っていただいて大丈夫です。

お子様の発達や、アレルギー情報、病歴、お母様やご家族のお気持ち等を書き込んでも良いです。万が一、お母様(保護者様)が急に入院することになった場合や、急にお子様を預ける必要が出た場合、災害時などの際にも、母子の情報がたくさん詰まった母子手帳は活用できます。最近では、母子手帳の電子化を進めている地域もあります。

母子手帳は就学前の7歳まで活用するという情報も多いですが、就学後に追加で予防接種を行うこともあります。また、お子様の成長が記載された母子手帳は「大きくなったね」「こんな時期もあったんだよ」と成長されたお子様と振り返るツールにもなりますので、大切に保管されることをお勧めします。

<参考文献>
こども家庭庁. 母子健康手帳情報支援サイト.

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 今西由香

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