今月中に産みたい、そんな時。陣痛を起こす方法は本当にあるの?

大きいお腹で動くのはもう限界、予定日が近づいてもつわりが続いてマタニティライフを満喫できない、上の子との学年差を調整したい、仕事の都合で早く産みたい…など様々な理由から「陣痛を起こす方法を知りたい!」というご希望を妊婦さんやそのご家族から伺う事があります。

本当にそんな方法はあるのか?あるとすればどうしたらいいのか?今日はそんな疑問に徹底的にお答えします。

うわさは残念ながらほとんど科学的な根拠はないようです

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陣痛を起こすための方法について、たくさんの情報が溢れていますね。とにかく歩く、スクワット、バランスボール、階段昇降、雑巾掛け、あぐらの姿勢、鍼灸、アロマ、ハーブティー、入浴、栄養ドリンクから焼肉を食べることまで…。もちろん、こういった方法で陣痛が起こった方もいるでしょう。「これが効いたよ!」という体験談は、効かなかったものよりも人に伝えたくなるものかもしれませんね。

安全な範囲でお試しいただくには問題ないものが多いようですが、残念ながらこれらの方法は「陣痛を起こす効果がある」と科学的に証明はされていないようです。

ご自宅で唯一できる陣痛を起こす方法は「乳房/乳首刺激」(ただし、効果がある対象者は限られています)

乳房/乳頭への刺激は、ご自宅でできる陣痛を起こすための唯一の方法です。実施してから3日以内に出産する確率が上がると言われています。ただし、ハイリスクではない妊婦さんに限ります。
一方、ハイリスク妊娠(※参照)の方で子宮の出口が十分に柔らかく広がっていない場合は、72 時間以内に出産に至る確率がむしろ減ってしまう可能性があると言われています。また、ハイリスクの初産婦さんの場合には、乳房/乳頭刺激を行うことで結果的に赤ちゃんの具合が悪くなることもあったとも報告されています。

乳房/乳頭刺激を行うことで陣痛を起こす効果があるのはローリスクの妊婦さんに限られる点、またハイリスクの妊婦さんではむしろ出産が遠のいたり、赤ちゃんの具合が悪くなってしまう可能性があることには注意が必要です。

※ハイリスク妊娠:母児に何らかのリスクがある場合で、母親の体格や合併症、過去の妊娠分娩歴などから判断します。ご自身のリスクについて、また、乳頭刺激を行ってもいいかご不明な場合は、かかりつけの産婦人科でご相談ください。

乳房/乳頭刺激の具体的な方法:「1日1時間×3日」「1日3時間」「電動搾乳機で30分」

ローリスクの妊婦さんにとっては陣痛を起こす効果がありそうな乳房/乳頭への刺激ですが、具体的にはどれくらいの時間行えばいいのでしょうか?

過去の研究から効果があったと言われている方法としては、
・1日1時間程度、左右の乳頭を15分毎に交互に刺激。それを3日間行う。
・1日3時間程度、左右の乳頭を15分毎に交互に刺激
・電動式搾乳器の使用(左右の乳頭に15分間ずつ交互に使用する)
といったものが挙げられています。

1日1時間の乳頭刺激を3日間、予想より長い時間行う必要があるのだな…と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。ここでは過去の研究で効果があった方法をご紹介しておりますが、お試しになる時は体調に応じて調整なさってくださいね。

乳頭刺激の方法については、こちらの記事も参考になさってください。

ローリスクの妊婦さんにとっては、乳頭刺激が陣痛を起こすための唯一の方法です。一方、この記事をお読みいただいた方の中には、ローリスクではない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は基本に立ち返り、きちんと三食食べ、眠り、できるだけリラックスし、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。いざ陣痛が始まれば、体力勝負でもあります。食事と睡眠を整えてエネルギーを充電しておきましょう!

ご自身の妊娠中のリスクを把握し、みなさまが安全にお産に向け準備が進められるよう祈っています。

*参考文献*
日本助産学会 エビデンスに基づく助産ガイドライン-妊娠期・分娩期・産褥期 2020

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

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(助産師 中村早希