最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
デリケートゾーン(外陰部)は生理や性行為などの影響で様々なトラブルが起こりやすい部位です。日頃の衛生ケアが大切な理由をわかりやすく解説します。
1.感染症から身体を守るためのバリア機能
外陰部や腟には、身体にとって大事な細菌がたくさん存在しています。その細菌の状態を正常に維持することは、他の有害な細菌の繁殖を防ぐためとても重要だと考えられています。
また、腟内は弱酸性に保たれており、これも有害な細菌の繁殖を抑える役目をしています。加えて、おりもの(腟分泌物)も細菌や異物を外に押し出す働きを担っています。
これらは全て、外陰部や腟を感染症から守るために役立っているのです。
2.外陰部は皮膚トラブルを起こしやすい
外陰部は、皮膚炎やその他の皮膚疾患にかかりやすい部位です。
特に、皮膚に刺激を与え炎症を引き起こす要素として尿や腟分泌物(おりもの)、便、摩擦などがあり、生理中や通気の悪い下着の着用などによっても皮膚トラブルが起こりやすくなります。
外陰や腟のトラブルのサインや症状は、かゆみや痛み、不快感、皮膚の変色や質感の変化(ザラザラするなど)など様々です。
なお、外陰部の皮膚疾患は閉経後に増加しやすくなります。
3.おりものの変化に要注意
おりものの増加やにおいの変化、色の変化は性感染症のサインかもしれません。
例えば、外陰腟カンジダ症ではおりものが増加しポロポロと変化します。かゆみが強いことも特徴です。
また、トリコモナス腟症では、おりものが緑色や黄色がかり、生臭いにおいとなって増加します。かゆみや刺激感を伴うこともあります。
日頃からデリケートゾーンを清潔に保ちながら、おりものの状態を観察しておくことで、性感染症の発見を早めることができるかもしれません。
なお、性感染症の予防には性行為でのコンドームの使用が最も重要ですので、ホルモン剤(低用量ピルやミレーナなど)で避妊をしていてもコンドームをきちんと使いましょう。
デリケートゾーンは生理周期や体調によってトラブルの起きやすい場所です。また、感染症から身を守るためにも大事な役目を持っています。日頃から気をつけてケアしていきましょう。
ケアのポイントについてはこちらの記事をご覧ください。
*参考文献
・Chen Y, et al. Role of female intimate hygiene in vulvovaginal health: Global hygiene practices and product usage. Womens Health (Lond). 2017 Dec;13(3):58-67.
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(産婦人科医 重見大介)