離乳食の豆知識① ~鉄分のとり方と味付けへの考え方とは~

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

離乳食をどう用意してどう食べさせるかは、多くの保護者が悩まれることと思います。今回は鉄分をどう取り入れるか、味付けはどう考えたらいいかについてお話します。

生後9か月以降の「隠れ鉄欠乏」に注意!

鉄分は赤ちゃんにとって、日々の成長のみならず、精神運動発達に不可欠な栄養素です。生後6か月を過ぎた頃から、胎児期に体内で蓄えていた貯蔵鉄は底をついていきます。母乳中に含まれる鉄分は、吸収率は高いものの含有量が少ないので、特に母乳中心で育っているお子さんは食材から積極的に摂取したいものです。特に生後9か月以降の「隠れ鉄欠乏」には注意が必要です。

鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

①ヘム鉄
ヘム鉄は、主にレバーを含む赤身の肉や赤身の魚などの動物性食品に多く含まれています。離乳食の食材としてはなかなか扱いにくいイメージがあるかもしれませんが、体への吸収率は25%で、これは非ヘム鉄の約5倍といわれています。ヘム鉄は、少量で効率良く摂取できるためぜひ取り入れたい成分です。さらに、ヘム鉄を摂取することが非ヘム鉄の吸収も助けます。
具体的には、お肉なら片栗粉をまぶして茹でることによって、パサつきが抑えられ適度なとろみで食べやすくなります。ベビーフードのレバーでも手軽に鉄分摂取ができますね。お魚は刺身用に切られて販売されているまぐろやかつお、食塩無添加の水煮缶の活用も便利です。

②非ヘム鉄
主に濃い緑の葉野菜、大豆製品、乳製品や鶏卵に多く含まれています。吸収率を高めるためには、動物性のタンパク質やビタミンCと組み合わせましょう。牛乳の代わりに粉ミルクを食材として使ったミルク煮もおすすめです。

1-2歳の味付けは大人の半分!「だし」と「蒸し」のススメ

厚生労働省は、子どもの1日の食塩摂取量について、生後6-11か月で約1.5g未満、1-2歳で約3.0-3.5g未満が目標と定めています。月齢相当のベビーフードよりも塩味が濃くならないようにしましょう。まだ機能として未熟な腎臓への負担にならないようにするためです。

離乳食初期から中期(7〜8か月頃)には、調味料を使った味付けは必要ありません。素材そのものの味の体験を広げてあげましょう。とはいえ、赤ちゃんも素材そのものの味だけでは物足りない、なかなか慣れないということもあるでしょう。あまり食が進まないなという時は、まず「だし(うまみ)」を活用してみてはいかがでしょうか。羊水や母乳にはうまみ成分のひとつであるグルタミン酸が含まれていることが分かっています。同じうまみ成分をもつ昆布やトマトのだしで野菜を煮たり、あんかけにして使ってみるのもいいですね。

また、「蒸し調理」は、じっくり熱を入れることによって素材本来の甘味や風味、うまみが増します。水分が保たれるのでしっとりふっくらとした食感に仕上がるほか、水溶性の栄養素の損失を防ぐこともできますよ。蒸し調理は赤ちゃんやお子さんに合った調理法といえるかもしれませんね。

「飲む」から「食べる」へ、体にやさしい離乳食で赤ちゃんの成長と元気を支えてあげたいですね。

*参考文献*
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド2019
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020
・佐々木万里絵ほか:乳児期の鉄欠乏について、小児科臨床Vol.72 No.2 2019
田中太一郎:乳児期の発育・発達への影響と貧血の予防・改善方策に関する大規模疫学調査、2018
・一般社団法人母子栄養協会:離乳食アドバイザー講座、2021
特定非営利活動法人うまみインフォメーションセンター

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 竹中絵理子

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