授乳時の体勢、見直してみませんか?

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

毎日の抱っこや授乳、おむつ交換や寝かしつけなど、育児には手を使う動作がたくさんあります。赤ちゃんのために、と痛みを我慢してしまう生活を送っていませんか?ちょっとした日常生活の身体の使い方を変えることで楽になる方法をご紹介します。

安定して吸えるようになったら、手首の負担が少ない横抱きへ

新生児のころは、母乳を飲んでもらう乳房と反対側の腕で、赤ちゃんの後頭部と首をお母さんの手で支え、もう一方の手で乳房を支える「交差横抱き/cross cradle」と呼ばれる方法で授乳をする方が多いのではないかと思います。

この抱き方は、小さな赤ちゃんに深くおっぱいを吸ってもらいやすい反面、赤ちゃんの頭をダイレクトに手で支えるため、指先や手首に負担がかかり、授乳をすることに慣れてきた頃には、肩や首、手首や腰に痛みを感じているのではないでしょうか?

赤ちゃんが安定しておっぱいに吸いついてくれるようになってきたら、そろそろ抱き方を交差横抱きから横抱きへ変えてもよいタイミングです。

横抱きでは、赤ちゃんをママの身体に近づけて抱き上げ、赤ちゃんの頭を肘にのせましょう

赤ちゃんの頭を肘に乗せる横抱き(cradle)も、基本の授乳姿勢は同じです。
右胸で授乳をする時には、右肘に赤ちゃんの頭を乗せ、おっぱいと赤ちゃんの口元が同じ高さになるように調整してみましょう。

赤ちゃんのおなかをママのおなかにくっつけるように、赤ちゃんは横向きの姿勢になるように体勢になったら、左手の親指と人差し指をCの字をつくるように広げて、胸を支えて赤ちゃんの口元に近づけます。
赤ちゃんが大きな口を開けて母乳を飲み始めて、深い吸着をするようになったら、左手は離して大丈夫です。
ママの肘の下にもクッションを置いて、肘や肩が上がって余計な力が入らないように調整することがポイントです。

横抱きが不安な時には、交差横抱きをしてから、横抱きに変えてみましょう

これまでの授乳方法の体勢を変えると、上手く飲んでくれているのか不安になることもあるのではないかと思います。
その場合には、これまで通り交差横抱きでの授乳を始めましょう。そして、深い吸着をするようになったタイミングで、赤ちゃんの頭を支えていた腕と反対側の肘を近づけて、赤ちゃんの頭を肘に乗せます。

そのまま深い吸着を維持できるようになったら、赤ちゃんの首を支えていた手を離して、肘や赤ちゃんの身体をクッションで支えて、余計な力が入らないように調整してみましょう。

授乳を始めた数週間は、赤ちゃんを抱っこすることに慣れておらず、グラグラする赤ちゃんの首元を支えることに不安を感じていることも多いのではないかと思います。
授乳の体勢がつらいな、と思った時には他の抱き方も試してみて、楽に授乳を続けられる方法を一緒に試していきましょう。

*参考文献*
・佐藤珠美, エレーラ C .ルルデス R. ら:産後女性の手や手首の痛みと関連要因. 日本助産学会誌 .2017, 31(1), 63-70.
Medela アドバイス母乳分泌期間 授乳時の抱き方(ポジショニング)
la leche league international Breast feeding info positioning
佐賀大学医学部看護学科 母性看護助産領域お役立ち資料 産後けんしょう炎予防ガイド

 

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(助産師 山﨑あや

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