陣痛促進剤について産婦人科医が考えていること~最近の研究報告から~

公開日: 2019年10月16日

最終更新日: 2026年3月24日

陣痛促進剤が必要な状況には、さまざまな理由があります。「なるべく自然なお産をしたい」と多くの人が思っていると思います。ただ、なかには母体の体調などで分娩を早める必要が出てくることがあります。

インターネットには様々な情報が載っており、その真偽を判断することは簡単ではありません。ここでは、陣痛促進剤に関して産婦人科医が考えていることをご紹介します。

妊娠高血圧症候群など早めの分娩が必要な状況があります

妊娠中は大きなお腹をかかえ、女性の体には大きな負担がかかっています。

そのため妊娠が原因で血圧が高くなったり、妊娠糖尿病になることがあります。特に妊娠中の高血圧では、早めの分娩が必要になることがあります。

また、何らかの理由で、子宮内の赤ちゃんの体重が増えなくなってしまった場合にも、早めの分娩が必要になります。

予定日を過ぎたときの陣痛促進剤についての研究で分かっていること

妊娠中に特に困った症状が全くなくても、陣痛促進剤が必要になることがあります。それは予定日を過ぎても陣痛が来ない場合です。予定日を過ぎたときに、いつから促進剤を使用したほうがいいのかについて、世界中でさまざまな研究がおこなわれています。

妊娠42週以降では、胎盤機能の低下や羊水減少などにより赤ちゃんへの負担が増えるため、現在は42週に入る前に分娩を完結させる方針が一般的です。海外の研究では、妊娠41週台で誘発分娩を行ったほうが、待機した場合と比べて帝王切開率が低下する可能性が示されており、多くの施設で41週台から分娩誘発が検討されます。

また、2019年のアメリカの研究では、妊娠39週以降の計画的分娩誘発でも赤ちゃんへの悪影響は増えず、帝王切開となる確率が下がったという報告もあります。このため現在では、39週以降の分娩誘発も状況によっては選択肢の一つと考えられています。

ベストな分娩誘発のタイミングは未だに解明されておらず、現在でも研究が続けられているのです。

陣痛促進剤のリスクと注意点

陣痛促進剤は子宮の収縮を強める作用があるため、適切に使用しないと合併症のリスクがあります。子宮の収縮が強くなりすぎた場合、赤ちゃんが苦しくなったり、過度な使用は子宮の筋肉にダメージを与えるリスクがあります。

そのため国内の診療ガイドラインでは、陣痛促進剤の使い方について厳格な決まりを作っています。また、陣痛促進剤を使うときには事前に患者さんに説明を行い同意を得ることが必須となっています。

陣痛促進剤を使う際には医師からしっかりと説明をうけ、不安な点などがあれば質問をしてみましょう。

分娩誘発については、こちらの記事でも解説していますので参考にしてくださいね。

*参考文献
Elective induction of labor at 39 weeks compared with expectant management: a meta-analysis of cohort studies. Am J Obstet Gynecol. 2019 Oct;221(4):304-310.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。

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