無痛分娩・和痛分娩ってどんなもの?産婦人科医による基礎解説

「無痛分娩」「和痛分娩」は最近ますます広まっている分娩方法で、産科の現場では妊娠初期からこちらを希望している妊婦さんも増えてきました。ただ「痛くなく産めるならそれに越した事がないけど…」「やっぱり副作用が心配…」「自然が一番なのかな…」など不安も多く聞かれます。
今回は、一般的な考え方や分娩方法を解説します。

「お産の痛みを和らげること」を目的に

妊娠満期に子宮の収縮が定期的に起こり始め、それが10分間隔になった時点で「陣痛の始まり」となります。最初の痛みは強い生理痛程度で、話したり移動したりすることができますが、徐々に痛みが強く、頻繁になるため、多くの女性はこれを「人生最大の痛み」と感じます。その痛み・不安感を和らげる方法として、170年以上前にアメリカで無痛分娩が始まり、徐々に広まっていきました。

なお「無痛分娩」と「和痛分娩」は、医療機関によって麻酔方法や効きの強さ等で言い分けていることがありますが、ここではまとめて無痛分娩と表します。

「痛みは美徳」ではない

日本では、「痛みに耐えて産んでこそ良い母になれる」といった古くからの考えが根付いている傾向も影響してか、海外ほど無痛分娩が広まっていません。
しかし実際は、分娩時に感じる痛みの強さが赤ちゃんへの愛情の強さに影響することはありません(研究でもそういったことが検証されています)。

本人と家族が選んだ方法で(時には医学的に必要な方法で)出産を安全に終えられた場合、それがその妊婦さんにとってのベストだったと言えます。

無痛分娩の方法

多くの場合、硬膜外(こうまくがい)鎮痛法という方法を使います。背骨の隙間から細い針を刺して、脊髄の近くの硬膜外腔(こうまくがいくう)という部位に細いチューブを入れ、そこから麻酔薬を調節しながら注入します。

無痛分娩(麻酔薬の注入)をいつから始めるかについては、以下の2種類があります。ただ、どちらの場合にも陣痛がきて最初の数時間は麻酔を使わず様子をみることが多いです。
(1) 自然の陣痛が始まってから病院に行き、子宮口が数センチ開いた時点から麻酔を開始する方法
(2) 自然な陣痛が来るのを待たず、妊娠週数や外来での内診所見から入院時期を決めて、入院後に点滴から陣痛促進剤を使用しながら分娩を開始する方法(計画分娩)

「計画分娩」をできるかどうかは分娩施設に確認を

これらを妊婦さんが選択できるかは、その分娩施設によって異なります。夜間は分娩施設のスタッフの人数が減るため、自然な陣痛が夜間に始まった場合は無痛分娩を行なっていない施設も多いです。必ず事前に確認をしましょう。
なお、計画分娩では、子宮口がまだ硬くて開いていない場合、出産予定の前日から子宮口を広げる処置を行うことがあります。

自分でしっかりと考えた上で選んだ分娩方法であれば、普通分娩でも無痛分娩でもどちらが優れているということはありません。
少しでも納得のいく出産を迎えられるよう、とても大事な「分娩方法」について考えてみてくださいね。


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(産婦人科医 鳥海 玲奈