35歳以上の高齢出産について知っておくべき3つのこと

女性の社会進出や若年者の価値観の変化により、高齢妊娠が増えてきています。高齢出産とは、35歳以上での出産(特に初回のもの)を指し、日本では全体の3割近くに達しています。
今回は、35歳以上になってからの出産を迎える女性にとって大事なポイントをまとめました。

難産になりやすく帝王切開率も上がります

加齢とともに赤ちゃんが出てくる通り道(産道)が硬くなり、また長い陣痛による疲労も蓄積しやすくなるため、どうしても難産になりやすいです。通常より分娩進行に時間がかかってしまったり、陣痛が弱まってしまった場合には、陣痛促進剤を使用することもあります。

また、難産やその他の合併症が存在することによって、帝王切開が必要になる割合も高くなります。帝王切開率は年齢が上昇するとともに増加することがわかっており、全体平均では20%程度ですが、35歳以上になると30%を超えてきます(日本産婦人科医会)。つまり、高齢出産のうち3人に1人は帝王切開になるということです。

出産に伴う出血量が増加し、産後の貧血にも注意が必要です

出産年齢が上がると、分娩時の出血量が増加することもわかっています。分娩時出血は、現代においても母体死亡の原因の代表的なものであり、全ての出産で、産婦人科医は出血量を増やさないように全力を注いでいます。ただし、中には出血量が非常に多く、輸血や非常に高度な治療が必要になってしまう場合もあり、高齢出産では特に注意が必要です。
また、出血量が多ければ、産後の貧血も重症になってしまうことを意味します。産後すぐの職場復帰を考えていても、貧血や疲労がひどく、思った通りの復帰ができないという可能性も想定しておいたほうがいいでしょう。

児に先天異常がある確率が高まります

先天異常は主に染色体異常(ダウン症候群など)とその他のものに分かれますが、母親の年齢が上がるに従ってそのような赤ちゃんが生まれるその確率は高まります。
最も有名なダウン症候群の発生率は、20歳では約1700人に1人ですが、40歳では約100人に1人まで増加します。また、ダウン症候群を含めた何らかの先天異常が発生する確率は、20歳では約500人に1人ですが、40歳では約70人に1人まで増加します。
近年では採血検査だけで可能な新型出生前診断が普及しつつありますが、きちんとした体制で実施している医療機関で行うことをお勧めいたします。

なお、新型出生前診断についてはこちらをご覧ください。
出生前診断を考えるときに必ずわかっていてほしいこと(2)−母体血胎児染色体検査(NIPT)について

今回は35歳以上の出産に関する情報をまとめました。怖いことばかり書いてしまいましたが、私たち産婦人科医は、これらの起こりうるリスクを全て頭に入れながら診療しています。
また、ご自身の想定とは違って陣痛促進剤や帝王切開が必要となった場合でも、母子ともに健康に出産を終え、育児をスタートすることが何よりも大切です。どんな形の出産でも、かけがえのないものであることを忘れないでくださいね。

なお、高齢による妊娠中の注意点については、こちらをご覧ください。
35歳以上の高齢妊娠について知っておくべき3つのこと


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(産婦人科医 重見大介