最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
「パニック症」という病気をご存知でしょうか。
もともとパニック症を治療しながら妊娠された方も、妊娠中に初めてパニック症になった方も、正しい知識をもっておくことで不安少なく日々を送ることができます。
20~30代女性におこりやすい「パニック症」
パニック症は20代から30代前半までの女性に起こりやすい病気とされています。
厚生労働省は、「日本人女性の一人目の出産年齢の平均は30.7歳」と発表しています(2018年)。ちょうど妊娠出産を経験する年代はパニック症の好発年齢にあたるのです。
パニック症の主な症状は、発作と不安
パニック症の主な症状は、パニック発作(数分から数時間続く激しい恐怖や不安)に加えて、動悸、胸痛、息苦しさ、めまいや吐き気、死んでしまうのではないかという恐怖感などです。なんのきっかけもなく、パニック発作のみが起こることもあります。
前述の症状が続くことで、「また起こったらどうしよう(予期不安)」とか「発作が起こったら困るから外に出るのは止めよう(回避行動)」などが一か月以上続くとパニック症と診断されます。
妊娠中・産後のパニック症の服薬は必ず医師に相談を
妊娠中・産後のパニック症の有病率は1.3-2.0%とその他の年代と大きな違いはありません。
とはいえ、パニック症そのものの不安や恐怖、妊娠・出産・育児に伴う不安があいまっている点が、この時期のパニック症の特殊なところです。
パニック発作の治療中に妊娠がわかることも多く、その場合の薬の継続や調整に関して自己判断で行うことはとても危険とされています。薬の本人への効果、胎児・新生児への影響については、必ず専門医と相談しましょう。
治療にあたっては、薬物療法を行うかどうか、それ以外の治療法に臨むかについての知識と相談が必要不可欠です。正しい知識を得た上で主治医、家族と相談を行い、サポートの具体的な内容などを考えることが重要となります。
*参考文献
・平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況.(厚生労働省)
・Pregnancy-Onset Panic Disorder: Incidence, Comorbidity and Associated Factors. Noro Psikiyatr Ars. 2015 Sep;52(3):216-220.
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師・助産師にご相談ください。
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(産婦人科医 小野陽子)