産後の発熱、受診の目安は?

普段だって熱が出たら心配なのに、産後に熱!となると、ますます不安になってしまいますよね。せめて、病院にかかるべきかどうかの目安だけでもあると少し安心なのではないでしょうか。そこで今回は、産後の発熱の基本的な考え方をまとめてみました。

発熱以外の症状がある場合に要注意

「熱が出る」イコール「菌に感染している」と理解されている方も多いかと思います。たしかに熱は、「菌」や「ウイルス」と身体が戦っているサインであることが多いのですが、それ以外が原因の場合もあります。
出産後2週間くらいまでは、37度台で他に特に症状のない熱が出ることがあり、これは出産後の正常な反応と言えます。様子をみて良いでしょう。

ただし、発熱と同時に、発熱以外の症状がある場合には注意が必要です。注意が必要な症状を紹介します。

注意1:下腹部の張りや痛みを伴う「産じょく熱」

出産にともない子宮やその周りに菌がついてしまい、そのせいで熱がでることがあります。38度以上の熱が続いて下腹部が張ったり痛みがある場合、もしくは悪臭のする悪露がある場合は、一度かかりつけの病院を受診しましょう。診断をはっきりさせることができ、場合によっては抗菌薬が必要になります。

注意2:乳房に痛みが伴う「乳腺炎」による発熱

乳汁がうっ滞することによって熱が出て、乳房に痛みやしこりが出る場合があります。単にうっ滞しているだけならマッサージだけでよくなることもあるのですが、うっ滞に加えて菌が感染すると、抗菌薬や膿を出す治療(切開排膿)が必要な場合があります。
高熱に乳房の痛みを伴う場合は、かかりつけの病院を受診してみてください。

注意3:排尿時に痛みが伴う「腎う腎炎」

出産に伴い、膀胱炎や腎う腎炎のリスクが上がります。
膀胱炎の代表的な症状は、排尿時の痛み、頻尿、残尿感などです。膀胱炎は通常、発熱は伴いません。
膀胱炎がこじれて腎臓まで菌が侵入すると、腎う腎炎と呼ばれる病気となり、発熱を伴うことが多くあります。腎う腎炎は抗菌薬で早期に治療する必要がありますので、膀胱炎の症状に加えて熱がでた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

上述の通り出産直後は膀胱炎になりやすいので、産後は日頃からしっかりと水分をとって膀胱炎にならないように対策してくださいね。

もちろん、妊娠出産とは関係ない熱が出ている場合も当然あります。季節にもよりますが、風邪や胃腸炎などが挙げられます。

熱が出た時は、「どのような症状を伴うか」が、原因を探るキーポイントになりますので、医療機関への問い合わせ時や受診時は発熱に伴う症状を伝えるようにしてください。
さらに、①出産時の状況(自然分娩だったか帝王切開だったか、何か特別なことはなかったか)、②過去の病気や治療中の病気、③飲んでいる薬、なども重要な情報になります。例えば、ステロイドを継続して飲んでいる人は熱の原因や緊急度が変わったりします。
あまり自己判断しすぎずに、正しい記録や正確な情報をもって医療機関をはやめに受診しましょう。


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(産婦人科医 高野恭平