切迫早産の重症度別対処法

切迫早産の治療の目的は、妊娠期間をできるだけ延長させて、産まれる赤ちゃんへの危険性をできる限り減らすことです。
対処法は、切迫早産の重症度によって異なります。

軽症では適度な安静と症状の観察が中心

子宮頸管長が30mmを超えていて、痛みを伴う子宮の収縮が頻繁に認められなければ、多くは軽症の範囲と考えられます。
*ただし、妊娠週数や過去の早産の経験なども考慮されるため、あくまでも参考の範疇とお考えください。

重い荷物を無理に持たない、長時間の移動を避ける、動いてお腹が張る等の自覚症状があれば安静にする、など日常生活での負担を最小限にする必要があります。
ただ、通常の家事程度の負担が急に切迫早産を悪化させることはほとんどありません。また、通常は入院を指示される事もありません。

なお、張り止め(子宮収縮抑制薬)の内服薬(例:塩酸リトドリン)が処方されることもありますが、近年ではその効果が否定されてきています。

中等症では長期の入院管理を検討する場合が多い

一般的に、妊娠中期〜後期(35週あたりまで)で子宮頸管長が25mmより短くなると、軽症の域は超えてしまいます。
*ご自身の重症度については、必ず主治医の先生にきちんとご確認ください。

この場合、長期の入院管理を勧められることがあります。
入院では、安静による予防効果、症状悪化を早く見つけられる可能性や、点滴等の薬物治療が行えるなどのメリットがあります。
しかし長期入院にはデメリットもあり、長期入院によって筋力の衰えや深部静脈血栓症(足の血流が悪くなり血管内が詰まってしまう病気)のリスクが上昇します。
また、慣れない入院生活や家族と離れることによる精神的ストレスが増すことも心配されます。

上の子がいるためどうしても入院できない、というケースでは、自宅での「厳しい安静」が指示される場合があります。「厳しい安静」と聞くと、一日中ベッドにいて、トイレ以外ほとんど動かない姿を想像されるかもしれませんが、これは誤ったイメージです。そのような安静の取り方は、身体にとって明らかに悪影響を及ぼしますし予防効果があるとは証明されていません。

よって、きちんと主治医と相談し、どのような生活が望ましいのか、具体的なイメージができるまでしっかりと聞いておきましょう。

重症では未熟児への対処を一番に考える

重症とは、数日以内にほぼ早産が避けられない状況を指す場合が多いです。
通常は即日入院となり、必要と考えられる対処(子宮収縮抑制薬の点滴投与、ステロイド剤の注射など)を行います。
ただ、その病院が未熟児に対応できない場合、新生児集中治療室を持つ周産期センターへ救急搬送となることもあります。

今回は、重症度別に切迫早産への対処法を説明しました。自身や家族でも適切な知識を持ち、主治医の先生と充分に相談して治療方針を検討していくことが、納得のいく治療を受ける第一歩です。

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(産婦人科医 重見大介