「やせ過ぎ」は危険です!~骨粗しょう症予防には思春期の食生活と運動が重要です~

書いた人

佐藤 綾華

産婦人科医

日本の若い女性の「やせ過ぎ」が問題視されています。

やせるための過度な食事制限や激しいスポーツを行っている場合は骨粗しょう症を含む様々な健康障害のリスクが上昇します。

産婦人科医の目線から「やせ過ぎ」による骨粗しょう症の危険性についてお伝えします。

日本の女性の「やせ過ぎ」が問題となっている!?

「やせ」を判定する指標にはBMI(Body Mass Index)があります。

“BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))”で計算します。

BMI18.5未満の場合を「やせ」の状態とし、低体重による健康障害のリスクが上昇します。標準値は「22」でこの値に近づくほどさまざまな病気にかかるリスクが低いといわれています。

日本の若年女性の約5分の1がこの「やせ」の状態にあり、問題視されています。

「やせ過ぎ」によって骨粗しょう症のリスクが高まります

過度な食事制限によるダイエットや激しいスポーツによって、摂取量と消費量のアンバランスが起こり低栄養の状態になります。

低栄養状態では、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し無月経となるリスクがありますが、エストロゲンには骨量の増加や骨を強くする作用もあるため、エストロゲンが低下すると十分な骨の成長が得られなくなってしまいます。

若いうちは問題ないかもしれませんが、十分な骨量の獲得がないと加齢とともにさらに骨密度が低下し、将来、骨粗しょう症となり骨折のリスクが増加します。骨密度や骨量の増加は思春期~20代前半がピークであり、その時期に十分に骨を成長させておくことが将来の健康のために大切です。

骨粗しょう症予防のための食事と運動の重要性

十分な骨量獲得のために、普段の食事と運動習慣は重要です。

女性のエネルギー必要量は12~17歳で2300~2400キロカロリー、18歳~29歳で2000キロカロリーといわれています。運動量が多い場合はさらに消費に見合った摂取量の調整が必要です。

運動習慣がない場合は、普段の移動を徒歩にしてみたり階段を使ったりと一日の流れの中で少しずつ活動強度を上げることを目指すところから始めましょう!

必要量のエネルギー摂取ができるバランスの良い食事と運動習慣で若いうちに十分な骨量を獲得し、将来の健康に投資しましょう。

<参考文献>

日本の女性のやせ過ぎ問題とその栄養対策 Part 1 若い女性のやせ過ぎ問題は待ったなし! | ニュース | 日本生活習慣病予防協会
BMI測定 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修
日本人の食事摂取基準 |厚生労働省


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(産婦人科医 佐藤 綾華

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