ピルの連続投与を知っていますか?~最大、生理の回数を年3回まで減らすことが出来ます~

書いた人

竹中 裕

産婦人科医

性成熟期の多くの女性は概ね月に一回の生理を経験します。中には、月経困難症や子宮内膜症、PMSなどで生理により著しく生活の質が低下する方もいらっしゃいます。今回は、ピルを使用して生理の回数を少なくする治療に関してご紹介したいと思います。

ピルの連続投与とは

ピルは従来、生理と似た「消退出血」を月に1回起こす飲み方が主流とされていました。これは女性の生理周期の平均が28日であることに由来しており、医学的な理論に基づいているわけではありません。

近年、ピルを連続して長めに内服することにより、必ずしも月に1回消退出血を起こさなくとも安全性に問題のないことが分かってきました。このことは、たとえ消退出血といえどもその際に不快な症状を有する女性にとっては朗報といえるでしょう。(従来の飲み方でもピルには生理痛の軽減、出血量の減少効果があります)

4か月連続してピルを飲み続け、休薬する

ピルの種類には、ホルモンの成分の変化に応じて一相性、二相性、三相性のものが存在します。このうち一相性のものをひたすら毎日服用し、約4か月(あるいはそれより短い期間でも問題ありません)経った時点で休薬するというのがピルの連続投与です。途中で出血があった場合にはその時点で一旦休薬となります。上手くいけば、生理が約4か月に一度となります。

慣れないうちは出血に悩まされることも

従来のピルの飲み方においても、特に飲み始めのうちは意図しない出血に悩まされることがありますが、これは連続投与についても同様です。

また、ピルには避妊効果がありますので、避妊目的で使用することは可能です。しかし残念ながら、生理に悩まされているものの、今現在妊娠を希望されている方への使用は勧められません。

ピルの連続投与は、月に1回の出血という概念を覆す画期的な治療法でありながら、まだまだ一般的に広く知られているとは言い難いです。条件が当てはまる方であれば、是非ともお試しいただきたい治療方法ともいえます。この方法で生活の質が改善された方も多数おられます。

<参考文献>

日本産科婦人科学会/日本女性医学学会 (編集・監修). OC・LEPガイドライン2020年度版. 日本産科婦人科学会/日本女性医学学会, 2021, 132p.


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(産婦人科医 竹中裕

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