やってみよう!乳がんのセルフチェック

「なんとなく胸が張る感じがあるけれども、普段の自分の胸ってどんな様子だっけ?」 「左右の胸に差がある感じがするけれども、いつからあるのか覚えていない。」そんな自分の乳房に関する漠然とした不安を抱いたことのある女性は少なくありません。今回は、自分でできる乳がんのセルフチェックについてまとめました。

<ブレストアウェアネス>とは乳房を意識する生活習慣のことです

<ブレストアウェアネス>とは、自分の乳房に日ごろから関心を持ち、乳房を意識して生活することを指します。ブレストアウェアネスを身につけるために、以下の4つのポイントを心がけましょう。

①自分の乳房の状態を知る

②乳房の変化に気を付ける

③変化にきづいたらすぐに医師に相談する 

④40歳になったら、2年に1回乳がん検診をうける

しこりを探そうとするのではなく、着替えの時・入浴やシャワーで洗う時や、夜仰向けになったときなど、気軽に自分の胸を見て・触って乳房の普段の状態をチェックしましょう。月経前に乳房の張りを感じ、月経後半には張り感が減少するなど、月経周期での変化についても普段から気にすると良いでしょう。

セルフチェックで何か変化があるようであれば、すぐに専門の医療機関を受診しましょう

普段から自分の乳房の状態をチェックすることで、変化に気づきやすくなるというメリットがあります。以下のような変化がある場合は、乳腺外科への相談をおすすめいたします。

・乳房のしこり

・乳頭からの分泌物

・乳頭や乳房のただれやびらん

・皮膚のへこみやひきつれ

・乳房痛

これらの症状がすべて乳がんであるとは限りません。また乳がん検診で精密検査の必要がないと判定された場合でも、しこりや赤や褐色の分泌物などの自覚症状がある場合は、放置せずに受診することが重要です。

40歳以降では、定期的に乳がん検診をうけることも重要です

日ごろのセルフチェックも重要ですが、それだけでは十分ではありません。40歳以降では、2年に1回の乳がん検診がすすめられています。なお更年期障害などでホルモン補充療法を受けている方は、1年に1回の乳がん検診が必要です。

産婦人科の臨床現場では、妊娠中・授乳中、ピルやホルモン補充療法などのホルモン治療中、PMSや月経困難症などの月経周期にまつわる症状における乳房の変化におけるご相談が多い印象です。普段から自分の乳房の様子をチェックすることで、自身のホルモンバランスの変化や治療による乳房の張りなどの症状に関する不安も軽減されるといいですね。

<参考文献>

日本乳癌学会. “Q5.乳がん検診について教えてください。”. 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版.

植松 孝悦. “ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)のすすめ”. 乳がん検診の適切な情報提供に関する研究.

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 青栁百合

SNSでシェア