最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
安心して妊娠・出産・育児と仕事を両立するためには職場の環境も大事です。今回は安心できる環境を妨げる「ハラスメント」について、定義や例についてまとめました。
「マタニティハラスメント」とは?
職場であってはならない「ハラスメント」。パワハラやセクハラなどに加え、妊婦に対しては「マタニティハラスメント」が問題になります。
マタニティハラスメントの定義は、職場において行われる①妊娠・出産等を背景とした言動であって、②労働者の就業環境が害されるものをいいます。もちろん、客観的に見て「業務上必要な言動」と考えられるものは該当しません。また同様の言動は育児に関して行われた場合も含まれ、こちらが男性労働者に行われた場合には「パタニティハラスメント」と呼ぶこともあります。
マタニティハラスメントの例
マタニティハラスメントには、妊娠・出産したこと自体のみではなく、「育児休業を申し出た・取得した」「妊娠に伴う休みを申請した」ことによるものも含まれます。例えば「妊娠したなら早めに辞めてもらうしかない」という発言はもちろんのこと、「まだ就職したばかりなんだから育休はやめてね」などという、労働者の権利を侵害するものもマタニティハラスメントにあたります。また「パートナーとの性行為」や「身体的変化」に言及するような過度のプライベートの侵害もハラスメントにあたります。(「お腹大きくて大変ではない?」などの適切な配慮はもちろん該当しません。)
マタニティハラスメントと法律
女性に対する妊娠・出産に関するマタニティハラスメントは、主に男女雇用機会均等法に定められており、ここでは同時にセクシャルハラスメントについても規定されています。また男女双方に対する育児に関するハラスメントは育児・介護休業法に定められており、両方の法律で「企業が防止措置を行う義務」「不利益取扱いの禁止」が定められています。マタニティハラスメントは環境を害するという意味でもちろん問題ですが、同時に「法律で防止することが定められているもの」なのです。
<参考文献>
産婦人科オンラインジャーナル. 「マタニティハラスメント」とは?~実際に受けたときの対応~
厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部. 「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」
厚生労働省. 妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ, 「妊娠・出産・育児休業、介護休業等を理由とする不利益扱いの禁止と妊娠・出産・育児休業、介護休業等に関するハラスメントの防止」
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(産婦人科医・産業医 平野翔大)