最終更新日： 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

近年ではソーシャルメディアの影響により、若い世代を中心に美容医療の需要が増えています。一方で、美容医療を受けた人からの被害相談は1年で2000件を超えるほど多いのが現状です。産婦人科医の立場から、美容医療について是非知っておいてもらいたい内容をまとめました。

美容医療は施術前に、リスク、費用、施術後のケアについて、医師と十分に話し合いましょう

美容医療における技術の進歩により、より正確で個人にカスタマイズされた治療が可能になっています。美容医療といえば侵襲の強い手術のみと思われがちですが、栄養指導やサプリメントの提供なども行われるようになっています。さらに、美容医療が健康との関係性に着目するようになってきており、栄養や運動、精神的な健康などの要素も重視されるようになっています。ですが、美容医療では時にリスクが伴うこともあります。施術による合併症として痛み、腫れ、感染、創部のケロイドや変形などのリスクがあります。また美容医療の合併症の治療では、全額が自費になる可能性もあります。

施術内容やリスクについて事前に十分に説明してもらい、自分自身で納得した上で施術を受けることが重要です。また、施術後のケアや結果についても確認しておくことが必要です。

安全な美容医療を選ぶために

安全な美容医療を選ぶためには、信頼性のあるクリニックを選ぶことが重要です。ポイントとしては施術後のケアや結果、適切な設備や器具、衛生管理がしっかりと行われているかどうかをホームページ等で確認することです。

また、美容医療は高額な費用がかかることがあります。施術の料金については、事前に明確に確認することが重要です。ですが、価格だけで判断するのは危険です。安全性や品質にも注意が必要となります。口コミや評判、実績、施術前の相談やカウンセリングなどを通じて、医師やクリニックを選び、自分に合った美容医療を受けることで、より良い結果が得られる可能性が高くなります。

困ったらクーリングオフや相談窓口へ相談を

近年の美容医療は、治療方法の多様化や高度化が進み、美容に関する悩みを抱える人々にとって、自分に合った治療方法を見つけることが可能になっています。しかし、治療方法が多様化した分、リスクも伴うため、美容医療を受ける前には医師選びや治療内容の十分な理解が必要です。

また、美容医療において医師に相談する方法も多岐にわたり、オンライン相談や電話相談、メール相談、カウンセリング、SNSを利用した相談があります。しかし、SNS上での相談には情報の信頼性に注意が必要です。美容医療を受ける前には、信頼できる情報源から情報を収集し、医師との相談を重ねて、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

もし契約をしたあとで疑問を感じた時は、クーリングオフや中途解約を検討してください。また困ったときは消費者ホットライン(188)や医療安全支援センターへご相談ください。

<参考文献>
国民生活センター,美容医療サービス

政府広報オンライン, 美容医療サービスの消費者トラブル  サービスを受ける前に確認したいポイント

Elective female genital cosmetic surgery. ACOG Committee Opinion No. 795. American College of Obstetricians and Gynecologists. Obstet Gynecol 2020;135:e36–42.

Levy LL, Emer JJ. Complications of minimally invasive cosmetic procedures: prevention and management. J Cutan Aesthet Surg. 2012 Apr;5(2):121-32. doi: 10.4103/0974-2077.99451. PMID: 23060707; PMCID: PMC3461789.

Khunger, Niti; Pant, Hema1. Cosmetic Procedures in Adolescents: What’s Safe and What Can Wait. Indian Journal of Paediatric Dermatology 22(1):p 12-20, Jan–Mar 2021. | DOI: 10.4103/ijpd.IJPD_53_20

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

（産婦人科医　佐伯 信一朗）