排卵誘発薬ってどんなもの? 〜使い方や効果、副作用など〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

不妊治療でとても多く使われる排卵誘発薬。内服薬や注射製剤などがありますが、効果・目的や副作用について説明致します。

排卵誘発薬は排卵を助けるお薬です

「排卵誘発剤」と聞くと「強い薬で怖い」というイメージがあるかもしれませんが、不妊治療ではとても広く使われている薬です。排卵誘発剤を使う場合は、①患者さんに排卵障害がある場合、②排卵障害はないが、タイミング療法から治療をステップアップする場合や人工授精を行う場合、③体外受精を行うために採卵をする場合、が考えられます。

排卵障害がある場合には、年齢・不妊期間・月経周期・超音波検査・ホルモン検査などを参考にして、排卵誘発剤による治療方針を決めます。

内服で使われる主な排卵誘発剤

保険適応では、1回の月経周期で5日間の内服が認められています。

●クロミフェンクエン酸塩(クロミッド®︎)、シクロフェニル(セキソビッド®︎)
脳からの黄体化ホルモン・卵胞刺激ホルモンの分泌を促進します。比較的軽い排卵障害に使われます。副作用は少ないですが、複数の排卵による双子や三つ子(多胎妊娠)に注意が必要です。

●レトロゾール(フェマーラ®︎)
卵巣での女性ホルモン(エストロゲン)の合成を阻害することで、脳からのゴナドトロピン分泌をうながします。双子や三つ子(多胎妊娠)のリスクがクロミッドなどより少なく、多嚢胞性卵巣症候群の方への有効性が報告されています。

注射で使われる主な排卵誘発剤

注射剤は、内服薬の効果がとぼしい時や体外受精において多くの卵子を得たい時に使用します。注射剤は強力な排卵誘発効果が期待されますが、副作用として複数の卵胞発育による多胎妊娠(約20%)や卵巣過剰刺激症候群などの頻度が高まることが報告されています。

注射剤には、①hMG製剤、②精製FSH製剤、③遺伝子組換型FSH製剤があります。通院をしなくても、自己注射が可能な製品もあります。これらの製剤はいずれも強力な排卵誘発効果がありますが、LHとFSHというホルモンの含有量の違いや薬の強さの違いで多様な製剤があり、患者さんの状態に応じて薬剤を選択します。

排卵誘発剤は有効な治療薬です。どのような薬・治療方針が合うかを産婦人科医と相談しましょう。

参考文献
・一般社団法人日本生殖医学会. 生殖医療の必修知識.(杏林舍)


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

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(産婦人科医 赤枝 俊

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