育児の世代間ギャップを埋めよう 〜祖父母との良い関係を築くために〜

最終更新日: 2024年3月27日 by 産婦人科オンライン

育児の世代間ギャップを埋めよう 〜祖父母ができる子育てサポートとは〜」では、祖父母のみなさまに最新の子育て事情や育児サポートのコツについて、お伝えしました。今回は協力を依頼するパパやママ向けに、祖父母との良い関係を築くためにできることをお伝えします。

まずは祖父母世代の子育てについて理解することから始めましょう

「抱き癖がつくから抱っこしない」という育児方法は、1960年代後半にアメリカで生まれ、「小さな頃から自立心を育てる」という思想が流行しました。同時期に「母乳よりもミルクの方が栄養がある」と言われ、3 時間経たずに赤ちゃんが泣くとミルクを足した方がいいと言われていました。

現在ではどちらも根拠がないことが明らかになっていますが、当時はこのような方法が実際に勧められていました。

時代とともに、育児方法も科学的に解明されて現在に至ります。まずは祖父母世代も今の親世代と同様に「その時代の常識に合わせた育児をしてきた」という事実を理解しましょう。

ギャップを超えるメリットがたくさんあることを言葉で伝えましょう

祖父母が子育てにかかわると、親のQOL(Quality of Life=生活の質)が高くなると言われています。親に時間的・精神的な余裕が生まれれば、子どもに優しくなれるでしょう。

ある研究では、親の祖父母に対する期待は「家事・育児をめぐる物理的な支援や経済的支援よりも、祖父母が子どもの話相手や遊び相手となってさまざまな経験や知恵を伝えるという、孫の教育の面での支援が上回っている」と示されています。子どもの心を育てる上でも、祖父母はありがたい存在なのです。

こうしたメリットがあることを、折に触れて祖父母と共有することで、より祖父母との協力体制を深める一助となるのではないでしょうか。

お願いは「具体的に」、協力してもらったら「感謝の言葉を」

お願いしたいことや気をつけて欲しいことは具体的に、やめてほしいことは「~しないで」と言うよりも「~してもらえたら嬉しい」という伝え方をしてみましょう。

例えば「テレビは1日30分位までにしてもらえると嬉しい」「代わりに絵本や歌が好きなので、教えてもらえると喜ぶと思う」のように伝えるのも一つの方法です。

多少の逸脱は大目にみる寛容さも必要です。祖父母が子育てに協力してくれることは体力的にも想像以上に大変ですし、スケジュールも捻出する必要があります。そのことにまずは感謝をしましょう。

いかがでしたか。

もしも祖父母世代が、今の常識とは違った育児方法で子どもと関わろうとしていたら、親世代は「今はこんなふうに言われているんですよ」と優しく祖父母に、お伝えくださいね。その際はこちらの記事を参考になさってください。

また、「おかげさまで」「助かります」「ありがとうございます」という感謝の気持ちを、きちんと言葉にすることが、先々の関係性を良好に保つ秘訣でもあります。

さまざまな世代の考え方を駆使し、心豊かな子育てライフを過ごせますように、心から応援しています!

<参考文献>

立命館大学人間科学研究所「祖父母の育児参加が子どもの人格に与える影響」

Life Design Report Autumn 2014.10 第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部「祖父母による育児支援の行方」

明橋大二/吉崎達郎(著)「子育てハッピーアドバイス ようこそ初孫の巻 孫が幸せに育つために」 1万年堂出版

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

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(助産師 小松由美子

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