最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
もともと男性と比べて女性がなりやすい膀胱炎ですが、妊娠の影響でさらに膀胱炎になりやすくなります。今回は膀胱炎についてまとめてみました。
妊娠中は膀胱炎になりやすくなります
妊娠中は大きくなった子宮によって膀胱や尿の通り道が圧迫されるため、妊娠していない時と比べて膀胱炎になりやすくなります。また、妊娠中に増加するホルモン(プロゲステロン)の作用によって尿の通り道の筋肉である平滑筋(へいかつきん)が緩まり、尿の流れが滞りやすくなることも、妊娠中に膀胱炎になりやすくなる要因です。
膀胱炎の時にみられる症状は?
・頻尿
妊娠中は膀胱炎でなくても子宮に押されてトイレが近くなりがちです。ただ、それまで以上に頻回になる場合は膀胱炎の可能性を考慮します。
・排尿時痛
膀胱炎では、おしっこが出ている時、特におしっこが出終わる頃に痛みを感じることがあります。
そのほか膀胱炎では尿意切迫感や残尿感がみられることがあります。
妊娠中の膀胱炎は抗菌薬での治療が必要です
妊娠していない健康な方で、単純性膀胱炎と言われる状態の場合は、必ずしも抗菌薬での治療の必要はなく、積極的な水分摂取や頻回に排尿することで良くなるケースが多いです。
しかし、妊娠中の膀胱炎は、抗菌薬での治療が必要です。ペニシリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬という種類の抗菌薬であれば、妊娠中でも安全に使用できるとされています。
なお、一部の抗菌薬は妊娠中の使用は避けることが望ましいものもあります。妊娠前に処方された抗菌薬や、他の人が処方された抗菌薬を使用することはやめましょう。
水分はしっかりとり、トイレを我慢しないようにしましょう
膀胱炎を予防するためには、水分摂取が大切です。妊娠の影響でトイレが近くなるため水分を控えめにしがちですが、水分はしっかり摂るようにしましょう。また、トイレを我慢しないように心がけましょう。
さらに、妊娠中に限ったことではないですが、排便後のお尻は前から後方向へと拭き取ることも大切です。
膀胱炎にならないよう気をつけていても、妊娠中はどうしても膀胱炎になることもあります。膀胱炎が疑われる症状があるときは、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。
参考文献
・NCBI StatPearls – Urinary Tract Infection In Pregnancy.
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 安井 理)