変わる「男性育休」のポイント ~企業も前向きな取り組みが必要~

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

2022年4月に施行された改正介護・育児休業法。特に「男性の育休」において大きな変化がありました。今回は改正のうち、企業に義務付けられた2つの取り組みについて解説していきます。

ポイント① 「意向確認」が義務に


今回の法改正で、企業は育休制度の内容や申し出窓口などについて、
・個別に社員に周知する
・取得の意向について確認する
ように義務づけられました。

確かにこれまでの法制度でも、男性が育休を申請した場合、企業は拒んではならないとされていました。しかし企業から「育休を取りますか?」と意向確認や案内を行う義務まではありませんでした。

今回はこれが義務化されると同時に、「取得を控えさせるような形」での意向確認が禁止されました。
「自ら言い出しにくい」「言ったら怒られるのではないか」というのが取得率低迷の原因とも言われていたので、今回の重要なポイントと言えるでしょう。

ポイント② 一部企業で取得率公表が義務化


また2023年4月から、従業員1,000人超の企業に「男性の育児休業等の取得率」を公表することも義務付けられました。(女性は義務ではありません)

ある調査(2)によれば、就活層の74%が「男性育休に注力する企業を選びたい」と回答する時代です。その中で大規模な企業で取得率公表が義務となったため、今後多くの企業が男性育休取得を促進し、取得率を上げていくと思われます。

企業は前向きな取り組みを求められている


これまで「言い出せない」「取れる雰囲気ではない」という意見が多かった男性の育休ですが、大きく変わりつつあります。今回の法改正では、「取得しやすい雇用環境の整備」も企業に義務付けられました。研修や相談窓口、企業の男性育休に関する方針の周知などのいずれかを行う必要性があり、皆さんの周囲に男性育休の情報が増えていくと思われます。

企業はこれまで以上に育休に積極的に取り組み、情報提供をしていくことが求められていますので、企業に勤める従業員の男性育休の取得しやすさは大きく変わっていくでしょう。

政府は男性育休取得率について、2025年に30%という目標を掲げていますが、2021年の男性育休取得率は約14%とまだ遠く及びません。
男性の育休は女性のキャリアにも大きく影響するのは事実であり、今後は積極的に推奨する企業も増えていくと思われます。
改めて妊娠時には、パートナーとそれぞれの育休について、話し合うなどしてみてください。

なお男性育休の内容について解説した、「変わる「男性育休」のポイント~育休の取り方が変わる~」、お母さんの制度について解説した「働くプレママが活用できる社会制度とは」についても合わせてお読み頂けますと幸いです。

参考文献
(1) 厚生労働省. 「育児・介護休業法の改正について」.
(2) 積水ハウス, 「男性育休白書2021 特別編」, 2021/9.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医・産業医 平野翔大

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